横溝正史『睡れる花嫁』

1 Comments
serpent sea
 

 横溝正史『睡れる花嫁』(『人面瘡』角川書店 1996 角川文庫 金田一耕助ファイル6 所収)

 タイトルからはエログロっとした「変格探偵小説」ぽい内容を連想してしまうけれど、実際には事件に関わる人物や捜査陣を中心に描いた、ちゃんとした(?)ミステリー小説だった。
 かつて死亡した妻を手元に置いて弄んでいた男の「アトリエ」と呼ばれる屋敷から、文金高島田を結った若い女の死体が発見される。犯人は出所した「アトリエ」の男らしいが、その行方は杳として知れない。金田一や等々力警部が捜査に奔走するなか、第二、第三の犯行が行われる……。って感じの話。

 個人的には三体目の死体が発見されるまで、犯人の見当が全然つかなかった。ぼーっと読んでたせいかもしれないけど、金田一がタネ明かしをしてるときも、そんな伏線あったっけ?? って感じだった。
 ただエログロを期待して読んでいると、ぼーっとしてても最初の花嫁が発見されるくだりで、あーこりゃ犯人変態じゃないなと気付いてしまうかもしれない。これはドラマの配役を見て犯人が分かってしまった的な話なんだけど、前に感想を書いた『人面瘡』(←前の記事へのリンクです)に見られるような上質なフェチ描写からして、もしも犯人が変質者だったら、花嫁にはもっと手が加えられて、タイトルから連想されるようなねっとりとした描写がなされていたに違いないと思う。本作ではむしろ死体の発見にいたるまでの腐臭や、蠅の群れの描写の方に力点が置かれている。

 そんなわけでタイトルに釣られて読むと、少々肩透かしを喰らうかもしれない。再度読み直してみても、細かい疑問が解消されなかったりもする。それでも作品全体としては登場人物は個性的だし、少ないページ数にもかかわらずよく整えられているという印象を受けた。意外な犯人や薄暗い屋敷のなかに寝かされた花嫁のビジュアルは、ドラマなどの映像作品に向いてるように思う。


関連記事
serpent sea
Posted byserpent sea

Comments 1

There are no comments yet.
Jett  
No title

Hi, i think that i saw you visited my site so i came to “return the favor”.I am attempting to find things to improve my web
site!I suppose its ok to use some of your ideas!!

2017/08/02 (Wed) 02:28 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply