常光徹『学校の怪談 K峠のうわさ』

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 常光徹『学校の怪談 K峠のうわさ』講談社 2009 講談社文庫

 本書は講談社KK文庫『学校の怪談』~『学校の怪談8』を加筆、再構成したもの。「百物語の世界」50話、「学校の七不思議」7話の、全57話が収録されている。「百物語の世界」が50話なのは、この本の続巻にあたる『学校の怪談 百円のビデオ』に収録された50話と、合わせて100話になるという趣向。

 もともと低年齢層に向けて書かれた本なので、あっという間に読み終わってしまうが、それでも色々と興味深いところがあった。まず驚かされるのは、全57話中に似通った話がほとんどなかったこと。動くカエルの解剖標本から、古典的な怪談をベースに持つものまで、実に多種多様である。巷間で噂されたり、各種の実話怪談集に収録されている怪談の、よりプリミティブな形のものをいくつも見つけることができる。訓話的な成分がやや多めなのも特徴かもしれない。

 また「学校の怪談」というとトイレの怪談や特別教室の怪奇現象などを連想するが、そんな超常現象が発生しない話がいくつも収録されている。例えば「第一五話 拾ったサイフ」は、拾ったサイフをネコババした男子生徒が、落とし主とおぼしき髪の長い白い服の女と一緒にサイフを捜すという話。サイフを捜している間中、女は怖い顔をして男子生徒を睨みつけていたという。話の舞台が墓場の前の道だったり、女の容姿が『リング』(1998)の貞子っぽかったりと、それなりの道具立てはあるものの、うしろめたさに根差した現実的な怖れを演出していてモダンな感じ。

 ほかにも著者の『学校の怪談 口承文芸の展開と諸相』(ミネルヴァ書房 1993)でも取り上げられた「のぞいていた顔」「母と子」など、メジャーな怪談が多く収録されている。


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