小原愼司『地球戦争〈2〉』

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 小原愼司『地球戦争〈2〉』小学館 2013 ビッグ スピリッツ コミックス スペシャル

 前巻に続いて雰囲気抜群の表紙が嬉しい第2巻。世界観や時代設定については前回の感想に書いたけど、帯に現状を外電っぽく、端的にまとめたあおりが載ってたので引用↓

蒼空ヨリ飛来セシ/異星ノ砲台ニヨリ/倫敦壊滅。/被害キワメテ/甚大ナリ。/外国カラノ/救助ヲ求メ/港町ニ向カウ/少年ト少女ノ/運命ヤ如何ニ!?


 港に辿り着いたオリバーたち三人は、オリバーのいた孤児院の子供たちと再会するが、アリスが何者かによって連れ去られてしまう。船倉に閉じこめられたアリスは、そこで人間モドキの女たちと遭遇し、スカートをめくられたりしてる。密航に成功したオリバーと孤児院の面々はアリスと合流。アリスを攫ったのは商社の社主、グレイヴという若い男だった。異星人襲来に乗じて野望を叶えるべく、陰謀を張り巡らしている様子。手なずけた異星人のトライポッドで、英国の艦船を攻撃する。

 前巻ではSF心を刺激しまくる見開きの絵が印象的だったけど、この巻ではそういった描写はごく少なめ、子供たちのやり取りを中心に、より世界名作劇場っぽい雰囲気になっている。好みによると思うが、この子供たちの一連のシークエンスは少し長いように感じられた。トライポッドもあまり出てこないし、思ったより多くの住民が生き残ってたこともあって、とんでもなくヤバいらしいことがヒリヒリと伝わってくるような、前巻にあった緊張感はかなり希薄になっている。ただ有事に仲間を売って小銭を稼ごうとしたサムの行動が、新キャラグレイヴの野望のスケールダウン版になってるあたり、こうしたストーリーに丁寧に組み込まれた入れ子構造からは、著者が相当長く広い物語の展開を念頭に置いていることが推察できる。

 グレイヴの登場によって、下敷きとなった『宇宙戦争』からは大きく逸脱することになった。人類対人類の争い、タイトル通りの『地球戦争』に、利用される異星人という構図になっていくのだろうか。いずれにせよこの先の展開が楽しみだ。前巻に続いて「空想科学漫画」、それから「世界名作劇場」の雰囲気満点で、そういうの好きな人にはすごくおすすめの作品。

 あと巻末の「メイキング オブ 銅版画ふうにトーンを貼るよ のコーナー」も面白かった。プラモの製作記事じゃないけど、こういうのも楽しい。しかし見開きに6〜8時間って、効果は絶大だけどすごい大変そう。


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Posted byserpent sea

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