牧野富太郎『植物知識』

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 牧野富太郎『植物知識』講談社 1981 講談社学術文庫

 ── 日本の「ユリ」と中国の「百合」は全然別もの。諸説あるが名前の由来は定かでない。開花した「ヒマワリ」は太陽に向かって動かない。アメリカ原産。「ヒガンバナ」の異名には「シビトバナ」「ジゴクバナ」「ユウレイバナ」「ヤクビョウバナ」などひどいのが多い。「バナナ」の実は、じつは葉っぱ。「イチゴ」の実は、じつは茎 ── などなど、100ページほどの本だけど、一読、身近な植物の豆知識が確実に増えるのが嬉しい。

 著者は植物分類学の世界的権威で、新種1000種、新変種1500種以上の日本植物を命名し、60万点に及ぶ標本を採集した。そんな人の書いた本はというと、「あとがき」に「読者諸君を草木に対しては素人であると仮定し、そんな御方になるべく植物趣味を感じてもらいたさに、わざとこんな文章、それは口でお話しするようなしごく通俗な文章を書いてみた」(p.100)とある通り、確かにとても読みやすかった。目の前に植物にめちゃ詳しいおじさんがいて、思いつくままに色々と話してくれてるような楽しさがある。

 本書ではスミレ、ヒマワリ、ユリなどの18種の花と、リンゴ、ミカン、バナナ、イチゴの4種の果実について、その来歴や名前の由来、形や仕組みが、図やときに和歌などを交えながら分かりやすく解説されている。身近な植物ばかりが選ばれているのがいい。興味をそそられるし、きっとどこかで話す機会があるはず。


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