作者不詳『わが愛しの妖精フランク』

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 作者不詳, 中村康治訳『わが愛しの妖精フランク』(“FRANK AND I”) 富士見書房 1980 富士見ロマン文庫 -37- 1-7

 1902年に出版された、明るく楽しい打擲小説。原書は英語だけど、パリで発行されている。以前感想を書いたジャン・ド・ベルグの『イマージュ』の鬱屈したエロさと比べると、それよりも50年ほど前に書かれた本書は、まさに古き良きって感じ。鬱屈した雰囲気はみじんもない。でもそうすると肝心のエロの方が……って気もするが、こってりとした淫靡なエロというより、ちょっとエロい萌えシチュエーションの数々が、これでもかってくらいに詰め込まれている。例えばカバー裏や帯に引用されている、本作屈指の名シーンはこんな感じ↓

フランクは両足をばたつかせ、臀部を激痛でのたうたせ、一瞬、わたしの鞭をよけるように体を横向きにした。彼の裸身の前の部分がわたしの目に入った。/そこにあるものを目にして、わたしは面くらい、驚愕した。鞭を振りおろそうと高く上げた腕が脇に落ち、細枝の鞭が手からぽろりと落ちた。/一瞬、わたしが目にしたものは、ちょうど金色のうぶ毛のようにほんのりと萌え出ている丘の陰に、ピンク色した細い柔らかな線状になった女性の部分だったのだ。/フランクは女の子だった!(p.14)


 ものすごく可愛いのに、わけあって男の子のふりをしているフランクことフランシスは、この時自称14歳。主人公のチャーリーは、まだ本当の性別がバレてないと思ってるフランクに「お仕置き」をするたび、知らん顔をしてその性器を視姦する。シンプルながら非常に優れたシチュエーションだ。ただフランクがどんどん成長してしまって、意外に早い段階でこの状況が終わってしまうのが惜しい。

 ストーリーはメイドや愛人、家庭教師のマーティン先生などが次々に登場して、主人公とフランクを中心に乱れまくってるんだけど、誰一人としてそれを後ろめたく思ったりしないのがおもしろい。太陽の下であっけらかんと尻を叩かれて嬌声をあげるような、素朴な屈託のなさである。男装を止めてしまった後のフランクのキャラが、弱く感じられてしまうのが少々もの足りないけれど、キャラクターの内面に突っ込んでいかない分、必要以上の拘泥がなく実に読みやすい。まさに気楽なハーレムものって感じ。

 カバーのイラストは金子國義。


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Posted byserpent sea

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