竹内裕『日本の宇宙人遺跡』

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 竹内裕『日本の宇宙人遺跡』大陸書房 1976

 気付けばヒストリー・チャンネルで『UFOハンターズ』がまたはじまってる。相変わらずこの番組は目撃情報の検証が大好きなようだ。その分、写真や映像の比率が少ないのがちょっと寂しいが、あの番組が『本当にあった呪いのビデオ』みたいに投稿映像てんこ盛りになったら、それはそれでおもしろそうだけどなんか違うな……。

 大陸書房は70年代の空前のオカルトブームを支えた出版社のひとつだ(最終的にはアダルトビデオをはじめ色々手を出して倒産)。当時そのジャンルに興味があった子供にとって、大陸書房の出版物は、大人向きの真面目なオカルト専門書って感じで、かなり敷居が高かったんじゃないかと思う。
 今あらためて見返してみると、シリーズ分けされた(※)相当な量のラインナップのなかには結構アレな単行本も多いのだけれど、ティム・ディンスデールの『ネス湖の怪獣』やN・F・ジロフの『アトランティス大陸研究』、ジェイムズ・B・スィーニ『図説・海の怪獣』などは、大陸書房があってこその名著だと思う。

 70年代の大陸書房のオカルト系の出版物は、上記の3冊のような「オカルトを真面目に取り扱ったもの」、それから「いわゆるトンデモ本っぽい本」、タイトルと表紙でUMA本かと思って購入したら動物の蘊蓄の本だった、オズモンド・ブレランドの『動物の謎』のような「オカルトを扱ってるように見えてそうでないもの」って感じに大別できる。
 この『日本の宇宙人遺跡』はというと、オカルトにごく真面目に取り組んではいるけど、どうにも色々肩入れしすぎて……という「いわゆるトンデモ本っぽい本」の好例。
 例えば北海道の手宮洞穴(詳しくはwiki等参照)に刻まれた文様に関するくだり。

もし、これらが人間の姿を描いた絵だといいうるならば、草書体の平仮名もミミズを描いたものだとすらいいうるのではないだろうか? 筆者には、やはり文字のように思えるのである。/しかし、トルコ文字や古代漢字であるとする説にも賛意は表しがたい。〔中略〕筆者は、この彫刻を刻んだものはアイヌ人以外の何者でもなかったと考える。〔中略〕そして、アイヌ文字が、アダムスキーが宇宙人から受けとった文字に酷似しているという事実は、アイヌ人が宇宙からの来訪者と密接な関連をもっていたという著者の主張を幾分なりとも裏付ける資料となりうるだろう」(p.45-46)


 ここで言及されている「アダムスキーが宇宙人から受けとった文字」とは、1952年アダムスキーが金星人オーソンと初めてコンタクトしてから三週間後、「アダムスキーの自宅上空に一機の円盤が飛来し、一つの包みが投げ落とされた」(p.48)、その小包のなかのフィルムを現像したところ写っていたというもの。いわゆる「金星文字」ってやつだ。この経緯で入手された「金星文字」がOKで、トルコ文字や古代漢字がダメって感覚が独特過ぎて唖然としてしまう。

 とにかく全編こんな感じなのだ。この手の本の理屈がどうしても我田引水に感じられてしまうのは、それが「理詰め」ではなく、「情詰め」で考えられているからってことが、とても分かりやすい形で表れていると思う。
 それじゃ本書がつまらないかというと、そんなことは全然なくてむしろ楽しい。著者の人柄が充分過ぎるほど伝わってくる。あと日本各地に点在する「宇宙人遺跡」が記された「日本の宇宙人遺跡地図」も気が利いてる。行き帰りの電車のなかで読んでたんだけど、桜もまだまだ綺麗なことだし、ちょっと遠出したくなった。


 ※ 1976年(昭和五十一年) 2月の「大陸書房 図書目録」によると、「失われた大陸シリーズ」「秘境・探検シリーズ」「失われた文明シリーズ」「UFOシリーズ」「怪獣・動物シリーズ」「怪奇・奇談シリーズ」「日本古代文明シリーズ」「宇宙文明シリーズ」「神秘シリーズ」「四次元シリーズ」「新歴史シリーズ」「特別読みものシリーズ」「オカルトシリーズ」「特製・豪華本シリーズ」「異色の研究シリーズ」がある。単行本自体にはシリーズ名が明記されてないので、なにかと不便なことが多い。


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