並木伸一郎『未確認動物UMAの謎』

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 並木伸一郎著『未確認動物UMAの謎』学習研究社 2002 MU SUPER MYSTERY BOOKS

 出版されてからすでに10年ほど経っているが、雑誌『ムー』のUMA関連の別冊としては最近の本。以前取りあげた『世界の未確認動物』(←1984年初版、前の記事へのリンクです)が30年近く前の本だったから、その差は20年だ。それじゃ20年のあいだに、どのくらい新しい情報が増えたかというと、総ページの1/3強くらい。新キャラの「スカイフィッシュ」と「チュパカブラ」で、増量分のほとんどを占めている。
 またモノクロで文字主体の『世界の未確認動物』と、画像主体となった本書とでは編集方針が大きく異なっている。見て楽しいのは断然本書の方。文字情報はほんの少しで、カラーページも多く、録画機器の発達を如実に感じることができる。ただ、画像が増えたのは大歓迎なんだけど、疑似科学的な考証が減ってしまうのは寂しい。

 内容は7章に分かれていて、各章の最初に4ページの解説、あとは画像、イラスト+キャプションという構成。それぞれの章をざっと紹介する。

「第1章 スカイフィッシュ編」
 最近ではすっかり下火になってしまった「スカイフィッシュ」、より新しい本ではまったく触れられてなかったりするのだが、本書の目玉だ。まさに録画機器の発達によって生み出されたUMAの代表格だといえるだろう。本書には刊行時点で公開されていた東西の数多くのスカイフィッシュの画像が掲載されている。解説ではスカイフィッシュの正体を「スペースクリッター = 宇宙からのプラズマ生命体」かもしれないとしている。

「 第2章 チュパカブラ編」
 スカイフィッシュと並んで盛り上がりを見せていた「チュパカブラ」に関しても、当時あちこちで目にした画像の数々と、犠牲になったとされる家畜の画像などが掲載されている。チュパカブラのものとされる画像や死骸の、どれもが同じ生物には見えないのがご愛嬌。反対に目撃者のイラストはほぼ同じ生物を描いたように見えるのがおもしろい。解説では「UFOから放出されたエイリアン・アニマルか!?」(p.48)なんて書いてるけど、UFOとUMAは混ぜるとリアリティが相殺されてしまうように思う。そんななかでもp.55の樹上のチュパカブラの画像には、これならいるかもと思わせるリアリティがある。

「第3章 ネッシー編」
「ウェブカメラが捉えたネッシー」というのが目新しいところ。解説は例によって聖コロンバ伝からはじまって、プレシオサウルス説を堅持している。「外科医の写真」がフェイクだったことについては、さすがにしっかりと言及されている。

「第4章 水棲獣編」
 当時ニュースでも取り上げられた、トルコのヴァン湖の「ジャノ」が大きく紹介されている。しかしもとは家庭用ビデオの映像である。静止画にすると画像が荒く、あの映像のインパクトがスポイルされてしまっている。
 ジャノ以外では「オゴポゴ」などメジャーな水棲UMAの画像がざっと掲載されているほか、謎の漂着物「グロブスター」についての言及もある。

「第5章 獣人編」
 かつては「ネッシー」とともににUMA業界を牽引してきた「イエティ」「ビッグフット」をはじめとする獣人系UMA。本書では新規の情報の乏しさからか、随分と地味な扱いになっている。一応新しいものではフロリダの「スカンクエイプ」の扱いが大きく、ビッグフットについても本書の刊行時点で最新のものが掲載されている。

「第6章 珍獣・奇獣編」
 世界各地で目撃されたマイナーめなUMAの数々を紹介。「エイリアン・ビッグ・キャット」や「ドーバー・デーモン」など。古代生物の生き残りっぽいUMAと、UFO関連の本に出てくる謎の生物、奇形がごちゃ混ぜになっている。

「第7章 日本のUMA編」
「ツチノコ」と「イッシー」を中心に、カラーページでは日本各地の妖怪のミイラを「地獄から来た妖怪・鬼は実在した!」(p.216)というノリで紹介している。

 この本が刊行された2002年の時点では、内容が先行するweb上の情報の後追いになってしまっていた。そのためこの手の本をしばらく買わなくなってしまっていたのだった。それでも改めて見直してみると、流行の画像が一塊になっているというのは嬉しいし、ごろ寝しながら読める手軽さも捨て難い。画像のサイズや情報の早さの点では、どうしてもネットの方が有利なのは仕方ないことだから、考証の充実など何らかの付加価値が欲しい。


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Posted byserpent sea

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