W・H・ホジスン『夜の声』

0 Comments
serpent sea
 

 W・H・ホジスン(William Hope Hodgson)著, 井辻朱美訳『夜の声』("The Voice in the Night") 東京創元社 1985 創元推理文庫

 短編怪奇小説集。著書はもと船員という経歴の持ち主で、収録されている8作のうち7作が海洋を舞台にしている。東宝映画『マタンゴ』(1963)の原作としても知られる表題作『夜の声』("The Voice in the Night")は、夜の海上で二人の男がただ話し合うだけ、というシンプルなシチュエーションの作品だが、終始全身がムズムズするような気味の悪さを満喫できる。名物に美味いものなしっていうけれど、怪奇小説の名作には本当に名作が多い。

 収録作のなかでもとくに印象的だったのは『熱帯の恐怖』("A Tropical Horror")。なんの前触れもなく突如襲来する大海蛇と、船上を逃げ惑う乗組員の凄惨な死が、ものすごい迫力で描かれている。タイトルに魅かれて読みはじめたところ、出し惜しみなしに姿をあらわす大海蛇に強烈なインパクトを受けた。後半の甲板室でのサバイバルの緊張感も極上。

 ほかの収録作品も読み応えのあるものばかりで、奇怪な生物がぞろぞろ出てきたりする。人によっては『熱帯の恐怖』の大海蛇よりもこっちのが怖いかもしれない。


 ※関連記事です↓福島正実『マタンゴ』とW・H・ホジスン『夜の声』
 http://serpentsea.blog.fc2.com/blog-entry-22.html


関連記事
serpent sea
Posted byserpent sea

Comments 0

There are no comments yet.

Leave a reply