木村心一『これはゾンビですか?〈2〉そう、私は死を呼ぶもの』

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 木村心一『これはゾンビですか?〈2〉そう、私は死を呼ぶもの』富士見書房 2009 富士見ファンタジア文庫

 この作品に登場する女の子は、ユーを筆頭にことごとく可愛らしく、何だかんだいいながらも主人公に好意的だ。しかし、主人公の歩がまったく羨ましくならないのがこの作品のおもしろいところで、得難い美点だと思う。まず惨殺されて、ゾンビとして復活、腕がちぎれたり胴がまっぷたつになるけど、復活、ゴスいコスプレでキモイと罵られながら戦うなんて、さすがにハードル高すぎる。

 というわけで紫の表紙の第2巻。表紙のイラストはユーだけど、なんといってもこの巻の目玉はシリーズ屈指のボケキャラで巨乳のトモノリの登場。それと大先生の戦闘シーンかな。

 まずは日常シーンから。アニメでもよく再現されていた試験勉強の一幕。三者三様のリアクションが楽しく描かれている。なかでもハルナの天才すぎる天才ぶりが遺憾なく発揮されている。相変わらず個々のリアクションを通して登場人物を紹介するのが上手い。ゲームセンターで遊ぶシーンも同様で、ユーがメダルゲームってところが愛らしい。またハルナとセラが、いつのまにか随分仲良くなってるらしいことが判明する。セラは完全にハルナの「お姉さん」だ。
 このゲーセンのエピソードが全体の丁度半分くらいで、ここまでのあいだにトモノリが先々拡張性の乏しそうな「豚骨ラーメン」というアイテムを引っさげて登場している。

 そして夜の王の登場。あー、これ前巻から続いてたんだ。そういえば前巻のラストくらいで一悶着あったような……。登場人物がずっと和気あいあいとしてる状態が続いても、本筋はどうなったんだよ、とか気にならないのもこの作品の素晴らしいところ。
 素晴らしいといえば、前巻でやたら目についた歩の「~なのさ」って言い回しがなくなってる。あれわざと痛いキャラを演出してるのかと思ってたけど、もしかして著者は素で書いてたのか……いや、効果が薄いってことで止めたのかもしれない。とにかく改善されてよかった。変な語尾にしなくても、上記のようにリアクションでその人となりが伝われば充分だと思う。

 この第2巻の七夕のくだりで、歩がいくらなんでもそりゃないだろ!ってほど頭の悪い願い事を短冊に書く。あまりの暴挙に物凄い違和感を感じてたんだけど、最近『ユリイカ 2013年 2月号』の著者のインタビューを読んで、多少納得することができた。なんでもゾンビになった時点で、歩はもとの歩よりも相当バカになってるらしいのだ。……なるほどー。今回も物語は全然収束する気配なく次巻へと続く。


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Posted byserpent sea

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