いけ『ねこむすめ道草日記〈7〉限定版』

0 Comments
serpent sea
 

 いけ『ねこむすめ道草日記〈7〉限定版』徳間書店 2012 リュウコミックス

 第6巻に続いての「限定版」。今回の付録は「お守り」。なんでお守り? しかも神社なんかで売ってる感じのしっかり刺繍の入ったやつ。前巻同様、カバーにバーコードが入らないのは嬉しい。
 ところで当時は全然知らなかったんだけど、第6巻と第7巻のあいだに、この作品が連載されている雑誌『月刊COMICリュウ』が一時休刊になってたらしい。どうりでこの第7巻がなかなか出なかったわけだ。幸いなことに『月刊COMICリュウ』は復刊になって、現在も元気よく刊行されている。3月13日には最新第9巻も出た。まじでよかった。

 この第7巻に収録されているのは「第36話」から「第42話」までの6話と、いつも通り各1ページのおまけが6編、それから6ページの「おまけ近況漫画 喫茶狐狸狐狸」。
 内容はいつも通りほのぼのしたり、ドタバタしたりって感じ。秋口から冬が終わるころにかけての話が収録されていて、季節感もたっぷり。季節の移り変わりがしっかりと描かれているためか、そこはかとなく寂しい雰囲気が漂っている(←もちろんいい意味で)。

「第38話 藤森商店の決戦で道草」は珍しく「化けガラス」が活躍する話だけど、そのおまけ漫画のなかで「流行った遊びも」「人間一個人との関係等も」「妖の過ごす時間では短いからのう…」(p.52)と、つぶやいている。化けガラスは昔人間に化けて、幼い頃の藤森商店のおばあちゃんと遊んだことがあったのだ。
「第41話 皆で年越し蕎麦食べて道草」では、その藤森商店のおばあちゃんが猫の姿の黒菜に向かって、「これで来年もずっとそばにいられるわね」(p.100)と微笑みかけ、黒菜も心のなかで「あたしもばあちゃんとずっと一緒にいたいよ」(p.100)と応えている。大晦日である。
 この作品のことだから、この先も人の生死に関わるような展開はないだろうけど、バラバラに過ぎてく時間のなかで関わりあった、人間と妖怪のちょっと寂しい心情の描写は、スラップスティックな作品のなかにあってとても効果的だ。さじ加減が難しいところだけど、このくらいのなんとなく匂わせる感じが、余韻を感じさせてちょうどいいと思う。

 少ししんみりした話になってしまったけれど、レギュラーの面々は相変わらず姦しく登場する。「伝言雀」のちーちゃんはまさかの人間化。しかもかなりかわいい。「第37話 田んぼの中のコンビニで道草」は、実家の近くのコンビニがまさにこんな感じで、夏になるとツマグロヨコバイの大群に襲撃されてる。おかげで感情移入? して楽しむことができた。

「おまけ近況漫画 喫茶狐狸狐狸」は、前巻の付録に出てきた「狐」と「狸」の喫茶店が再登場。雑誌が休刊して凹みまくった漫画家が店を訪れるという話。これもまたある意味、切実に寂しい話だ……。復刊してほんとよかった。


 ※フキダシからの引用は、読みやすいように改行を調整しています。


関連記事
serpent sea
Posted byserpent sea

Comments 0

There are no comments yet.

Leave a reply