尾崎博『なぜなに世界の大怪獣』(古本の観賞)

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 尾崎博監修『なぜなに世界の大怪獣』小学館 1973 なぜなに学習図鑑〈18〉

 小学館から刊行されていた「なぜなに学習図鑑シリーズ」の一冊。中身は見開きいっぱいの絵と少しのキャプションという、児童向けの図鑑の定番の構成ながら、収録された数多くのイラストは、どれも素晴らしいものばかり。まさにセンス・オブ・ワンダーって感じ。それもそのはずで、イラストを担当しているメンツが凄まじい。渡辺正美、石原豪人、小松崎茂、中西立太、南村喬之、柳柊二などなど……ちょっと考えられないくらいの豪華メンバーである。

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 表紙は渡辺正美によるもの。鳳凰とネッシーだろうか。後の映画『恐竜・怪鳥の伝説』(1977)を彷彿とさせる。本来は箱入りの本なんだけど、残念ながら箱は無くして(捨てられて)しまったらしい。

 ※画像が多くなったので収納しました、続きは下の「Read more...」より。画像はクリックすると大きくなります。

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 目次。本書は一応三つの章に分かれているが、第一章「かいじゅうは、ほんとうにいるのですか」が、全体の半分以上を占めている。

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「南太へいようのカバ怪獣」。「カバゴン」として有名なニュージーランド近海で目撃されたUMA。小松崎茂による素晴らしいイラスト。

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 ネッシーに関しては6ページにわたって三つの記事が掲載されている。さすが。画像は「ネッシーいけどり作せん」。武装した軍人が描かれていて、怪獣映画の雰囲気だ。

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 マレーシア中部のチニ湖で目撃されたUMA「赤い目のかいぶつ」。キャプションには銃で追い払った、みたいなことが書いてあるけれど、イラストには明らかに食われる10秒前って感じの、恐ろしい場面が描かれている。イラストはトラウマメーカー石原豪人によるもの。70年代のアメリカのTVドラマにでも出てきそうなファッションが目を引く。脅える女性がセクシー。

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「日本にもいる雪男?」ヒバゴンを目撃した「宮本くん」に対する取材が行われている。心に突き刺さるようなイラスト群のなかで、ほっと一息つけるページだ。片隅に掲載された小学校三年生の女の子のコメントは「サルかなにかの、見まちがいではないでしょうか」(p.20)

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 有名な「スクリューのガー助」アメリカのモンタナ州、フラットヘッド湖のUMA。まんまカモノハシ恐竜の姿で描かれている。しっかりしっぽにひねりが加わっているのがポイント。例のフェィク写真も掲載されている(右下)。

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「島のようなばけもの・クラーケン」漁船から落っこちるボートや人の表現が細かい。状況をヘリから見下ろしているかのような迫力と臨場感である。萩原孝治によるイラスト。

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 第二章「世界のでんせつに出てくるかいじゅうを、おしえてください」より、最恐のイラスト。「ようかい・九尾のキツネ」。いくらなんでも怖すぎる。

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 これ以上ないほどに「カッパ」。これもまた怖い絵だ。子供向けの本だからといって、一切妥協しないという姿勢が素晴らしい。いくらキャプションでカワウソの誤認説を唱えたところで、こんな絵を見せられてしまうと、もしかしてほんとはいるんじゃね……なんて考えてしまっても仕方がない。

 タイトルからして、一体なにを学習させるつもりなんだよって気がしないでもないが、同シリーズのラインナップを見てみると、「動物のふしぎ」「発明と発見」といったいかにも「学習図鑑」っぽい並びのなかに、「ロボットと未来のくらし」「ウルトラ怪獣大図鑑」「空とぶ円盤のふしぎ」なんてナイスタイトルが紛れている。うっかり子供にこういった本を買い与えてしまった当時の親御さんは、さぞびっくりしただろうと思う。


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Posted byserpent sea

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