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グレアム・マスタートン『シェークスピア奇譚』

 

 グレアム・マスタートン(Graham Masterton), 夏来健次訳『シェークスピア奇譚』("Will" ワインバーグ&グリーンバーグ(Robert E. Weinberg and Martin H. Greenberg)編著, 夏来健次, 尾之上浩司訳『ラヴクラフトの遺産』("Lovecraft's Legacy")東京創元社 2000 創元推理文庫 所収)

「クトゥルー神話」系のオカルト伝奇小説。著者は『エクソシスト』(1973)の大ヒットの影響下で制作された、あの『マニトウ』(1978)の原作小説も手がけている。『マニトウ』といえば、超絶アクロバティックな展開と、監督の事故死、オチの「東京云々〜」のテロップで知られるオカルト映画の傑作だ。TVでは何度かやってたはずだし、ソフトもVHS、LDと順調に出て、近年DVDも発売されてるから、古い映画だけれど見たことのある人も多いと思う。
 本作もまた「これ『マニトウ』の原作者の作品だよ」と言われれば、「な、なるほど……」と納得してしまうような展開で、とても楽しく読むことができた。ストーリーは↓

 シェークスピアの戯曲が数多く初演された劇場の跡地から、1600年代のものと思われる死体が発見される。しかし調査団は死体の他にもう一つ、とんでもなく忌まわしいものを掘り起こそうとしていた。平行して文献の調査を行っていた主人公は、例の死体がシェークスピアであること、また彼が「旧支配者」なる何者かと邪悪な契約を交わしていたらしいことを知る。

 もともと相性が良さそうな「クトゥルー神話」と伝奇的なパートが、予想以上にしっくりと噛み合っている。しかもメインのネタがシェークスピアということで、なんとなく風格まで漂わせているのがにくい。例えが下手で申し訳ないが、全体の印象としては古典的な英米怪奇小説に初期のクライヴ・バーカーをぶち込んだ感じ。クライマックスのユンボと旧支配者の大バトルはぜひ映像で見たい。

 この作品が収録されているアンソロジー『ラヴクラフトの遺産』にはロバート・ブロックの序文を含めて、傾向は様々だけど粒揃いの短編14編が収録されている。なかには名作ホラー映画『ザ・キープ』(1983)の原作者による作品も含まれていて、これがまたすごく良かった。解説は「クトゥルー神話」といえばこの人の朝松健。読み応えたっぷりでおすすめの一冊。


 ※「クトゥルー神話」関連の表記は作品中の記述に準拠してます。


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