Category狩久 1/1

狩久『壁の中の女』

No image

 狩久『壁の中の女』(鮎川哲也編『怪奇探偵小説集〈続々〉』双葉社 1976 幻の傑作ミステリー 所収)「彼」はいつも窓外の銀杏の木を見つめているようだった。……症状が好転しているわけではない。それでも生気が蘇ったかのような彼の様子に「主治医」は首を傾げた。彼の世話をする「老女」は、死ぬ前に人は一度元気を取り戻すという。主治医は気付いてなかったのだ。彼の見つめているのが窓の外の銀杏ではなく、室内の一点、壁の黒...

  •  0
  •  0