Category幸田露伴 1/1

幸田露伴『蘆声』

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  幸田露伴『蘆声』(『幻談・観画談 他三篇』岩波書店 1990 岩波文庫 所収) 三十年ほど前の出来事である。当時の自分は気ままな暮らしをしており、毎日のように中川べりへ出かけては釣り糸を垂らしていた。ちょうど秋の彼岸の少し前ごろのことだと覚えている。その日も午後から中川べりの西袋へ出向いた。と見ると、いつも自分の座るところに、十二、三歳の貧しい身なりの少年が釣り糸を垂れている。自分は場所を譲ってくれない...

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幸田露伴『骨董』/『魔法修行者』

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  幸田露伴『骨董』 幸田露伴『魔法修行者』(『幻談・観画談 他三篇』岩波書店 1990 岩波文庫 所収)『骨董』 先日久々に実家に帰ったところ、前にちょっと書いた庭の雑な築山の頂上に妙なものが置かれていた。それはカマクラの形をした高さ40センチくらいの黒い物体で、モダンなデザインの石灯篭みたいなものらしかった。電気を引けば光らせることもできるとのことだが、ゆるい築山の上に鎮座したそれは、どーみても黒い乳首だ...

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幸田露伴『観画談』

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  幸田露伴『観画談』(『幻談・観画談 他三篇』岩波書店 1990 岩波文庫 所収) 絵画や彫刻にまつわる怪奇・幻想の小説というと、幸田露伴にもそれっぽい作品がいくつかある。この作品もタイトルの通り絵にまつわる怪異譚で、実話怪談の体。「人名や地名は今は既に林間の焚火の煙のように、何処か知らぬところに逸し去っている」(p.47) って感じの、美しく格調の高い(そして所々難しい)文章で記されている。自分なら「人名や地名...

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幸田露伴『幻談』

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  幸田露伴『幻談』(『幻談・観画談 他三篇』岩波書店 1990 岩波文庫 所収) 徳川もまだ末にならない頃の話。小普請入り(非役の武士)となった「旦那」は暇さえあれば老船頭「吉」の舟で魚釣りに出ている。気心の知れた二人のこと、焦って無闇に魚を獲ろうというのではなし、まったりムードの釣行である。その日はまるで釣果のないまま日暮れを迎えていた。諦めて江戸の方に向けて漕ぎ始めると、やがて蒼茫と薄暗い海面に奇妙なも...

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