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あきまん『∀ガンダム 月の風』

 

 あきまん(安田朗)著, 矢立肇, 富野由悠季原案『ターンエーガンダム 月の風』角川書店 2007 角川コミック・エース

 ちょっと前に地元の友人と昔よくガンプラ作ったねー的な話題で地味に盛り上がっていると、そのうち好きなMS、キャラクターの話になった。友人は好きなキャラは特にいないとか言ってたが(実はあまり覚えてなかった)、MSについては迷わず「イージス」をあげてた。面白いのは彼がSEEDを全く見てないところで、たまたま量販店で見かけたMGを勢いで購入したのだとか。十数年振りのガンプラだったらしい。残念ながら彼は出戻ることはなかったようだが、こんな感じでプラモからずいぶん離れてた人が、何かの拍子でふらっとプラモを買ったり作ったりする話を聞くのは嬉しい。ちなみにMGイージスはかなり難しかったそうだ。自分の好きなMSはというと「ギャプラン」「Mk-II(ティターンズ仕様)」「メッサーラ」が長らく上位を占めていたところに、最近「Gルシファー」が参入して四強になった。友人はMk-IIが分かるだけだったが(青いガンダム的な)、これはファーストとZしか見てないから当然か。……ギャプランはすっかり忘れられてたけど。最近のガンダムについて尋ねられたので、とりあえずユニコーンと今やってるオルフェンズを薦めておきました。

 ところでガンダムのキャラクターといえば、ファーストからオルフェンズまで、シリーズを通して一体何人くらいのキャラクターがいるんだろうか。TVシリーズと何本かの劇場版をさらっと見ただけの自分でも数十人くらいは名前が出てくるので、実際にはとんでもない数になっていることと思う。友人はキャラには興味無いって感じだったけど、自分にはオールタイムでフェバリットなキャラがいる。それが『∀ガンダム』の「ディアナ・ソレル」閣下だ。
『∀ガンダム』はビクトリアンな町並みを背景に、シド・ミードによるキレッキレのMSと、ジブリ映画にでも出てきそうなアナクロな兵器が、戦闘にならない戦闘を繰り広げる異色のガンダムである。世界名作劇場とH・G・ウェルズを足して二で割らないような世界観に、『竹取物語』『とりかへばや物語』といった平安期の物語文学を下敷きにしたストーリーが展開する。この「足して二で割らない」感じがミソで、数々のミスマッチな要素が渾然一体となってないところが、劇中(と全シリーズ)の重層的な歴史を感じさせる、ような気がする。作品そのものが劇中のマウンテンサイクル(黒歴史の遺産が眠る遺跡)みたいになっている。そんなハチャメチャな作品(めっちゃ褒めてます)のコアとなるキャラクターが「月の千年女王」こと上記のディアナ様で、『∀ガンダム』における騒ぎの元凶「なよ竹のかぐや姫」である。

 この『ターンエーガンダム 月の風』は著者あきまん(安田朗)にとって初めての漫画だったらしい。著者はTVアニメ本編のキャラクターデザインをつとめており、もちろんディアナ様のデザインも著者によるものだ。アニメ本編の前日談にあたるこの作品は、人工睡眠から目覚めたディアナ様によって4年後の地球降下作戦の実行が宣言されるところから始まって、アニメ本編の主人公「ロラン・セアック」が地球に降下する直前(多分)で終わる。舞台は全編月面、反ディアナ派の暗躍とロランたちの楽しげなドタバタ劇が、びっくりするほどラフでゆるゆるなタッチで描かれている。ほとんどの場面でキャラはざっくりデフォルメされていて、やけに頭身が低い。アニメの絵が念頭にあると、きっと戸惑ってしまうと思う。ただ有り難いことにディアナ様に限っては、著者の思い入れによるものか、そこだけ浮いてしまうほど丁寧に美しく描かれている。ディアナ様のファンとしては、そんなディアナ様のためだけにこの本を買っても全然惜しくはない。また、入浴中のディアナ様(巨乳)の頭上を不敬にも掠めて飛ぶ「フラット」や、ディアナカウンターのMS訓練基地に佇む「ウォドム」などなど、SFゴコロをくすぐるかっこいい絵がちょいちょい挿入されているので、ディアナ様のファンでなくてもそっち方面のファンの人はわりと楽しめると思う。



『ターンエーガンダム 月の風』
 角川書店 2007 角川コミック・エース
 著者:あきまん(安田朗)
 原案:矢立肇/富野由悠季

 ISBN-13:978-4-0471-3929-9
 ISBN-10:4-0471-3929-7


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