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ロバート・E・ハワード『闇の種族』

 

 ロバート・E・ハワード(Robert E. Howard)著, 夏来健次訳『闇の種族』(“The Shadow of the Beast”『黒の碑(いしぶみ) クトゥルー神話譚』東京創元社 1991 創元推理文庫 所収)

 昨日は久々の平日休みだったのにずっと家にいて(なんて寂しい言葉だ)、録り溜めてたアニメの消化と部屋の片付け……というか本棚の整理で一日費やしてしまった。うちの本棚は、1.背表紙の見た目(色・背の高さ)、2.ジャンル、3.著者名の優先順位で並んでいて(並べられないのは床の上と段ボールの中)、見た目の良さの他にもスペースの有効活用の点で好ましいのだけれど、正直利便性には欠ける。なのでもうちょいどうにかしたいのだけど、本を探してるとき以外は利便性とかは関係ないので、ごちゃごちゃの本棚に囲まれているより、綺麗な棚に囲まれてる方がいいかなーとも思う。ほんと悩ましい。この本は適当に文庫本をまとめてあった中から見つけたもので、発掘したついでに購入以来久々に3編ほど読み返した。

 主人公のジョンは恋敵のリチャード・ブレンドを殺害するため「ダゴンの洞窟」にやってきた。奴がいる限りジョンの恋は決して叶わないのだ。幸いブレントは人里離れたこの「ダゴンの洞窟」に一人で遊びにくるという。ブレンドへの憎悪を募らせ、洞窟の闇に踏み込んだジョンだったが、足を滑らせて頭部を殴打、意識を失ってしまう。
「ダゴンの洞窟」はその人工的で整然とした構造から、天然の洞窟ではないと言い伝えられてきた。その岩盤を掘り抜いたのは、イギリスの古伝説に現れる謎の先史種族「矮人族」だったという。
 目覚めるとジョンはジョンでなく、先史時代の略奪者コナンであった。思慕する敵の女とその恋人らしい男を追って、この洞窟にやってきたのだ。やがて洞窟の暗闇の奥に女の凄絶な悲鳴が響き渡った。

 クトゥルー神話×英雄コナン、あなたと合体したいって感じの時空を超えた三角関係の話。著者ロバート・E・ハワードはH・P・ラヴクラフトの年下の大親友で、ヒロイック・ファンタジーの創始者である。その作品群が現在のホラー、ファンタジージャンルに及ぼした影響は計り知れない。また本作をはじめ何本ものクトゥルー神話ものを発表している。

 本作は著者のホームグラウンドであるヒロイック・ファンタジー(こっちがメイン)にクトゥルー要素を絡め、転生した(多分)主人公の現在に過去の出来事をシンクロさせて、重層的な作品に仕上げられている。クトゥルー神話ものとしては、恋愛分が多めのところや、アクション、バトルシーンが多いところが珍しい。
 ラヴクラフトの旧支配者やその眷族が畏れ敬うべき対象として描かれることが多いのに対して、本作の怪物はまさしくダンジョンのドラゴンで、倒すべき敵だ。ケルトの伝説のトゥアハ・デ・ダナーンが、旧支配者の眷族になっている。トゥアハ・デ・ダナーンはもともとケルトの母神グヌーから生まれた神々を指すが、天国から来た知性ある巨人の神族とも言われている。それが矮小化し、地下に暮らす妖精と化したという。元ネタからしてクトゥルー神話っぽい。また劇中で描写される「闇の種族」の姿が、仏教における餓鬼の姿そのままなのも興味深かった。実は「コナン・シリーズ」自体これまで2作しか読んでなくて、全然疎いジャンルなんだけど、それでもかなり楽しく読むことができた。ヒロイック・ファンタジー好きの人には一層楽しめる作品だと思う。


 ※「クトゥルー神話」関連の表記は作品中の記述に準拠してます。


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