「映画の感想 」カテゴリ記事一覧


『AVP2 エイリアンズ VS.プレデター』

 AVP2 エイリアンズ VS.プレデター

 見終わったところなので、忘れないうちに感想。エイリアンvsプレデターの2作目だ。物語は前作のラストを引き継いで始まるが、「物語」って書くのがためらわれるほどに、本作にはストーリーらしいストーリーがない。エイリアン・パンデミックの事後処理のために、コロラドの地方都市に単身やってきたプレデターがひたすらエイリアンを狩り、住人は住人でパニックに陥るというもの。これまでの「エイリアン」「プレデター」両シリーズの作品の舞台を思い出してみると、宇宙貨物船の船内、植民惑星、南米のジャングル、ロサンゼルス等々、バラエティに富んでいる。メインのモンスターが出てない時間帯も、その舞台に即した演出がなされて観客を飽きさせない。本作の舞台はコロラドの地方都市。なのでまずピザ屋のスタッフが理不尽にいじめられたりする、これまでシリーズでは見かけなかったようなシーンが続く。
 全体のノリはバイオ系のパニックものに近い。グロ要素とコメディ要素を排した健全な『バタリアン』(1985)って感じの作品だ。当然エロもないので家族で見ても安心(PG-12指定)。ただバイオものでいう感染力がごく弱いので、そういう緊迫感みたいなのはない。住人が雑な感じでパニックに陥ってしまって、気付けば街がとんでもないことになってる。

 本作の目玉はエイリアンとプレデターのハイブリット、通称プレデリアン! ……しかーし、前作では南極の地下ピラミッドというワクワクする舞台設定と、エイリアンとプレデターが戦うこと自体が目玉になっていたので、それと比べるとかなりジミ。というか、このプレデリアン、結構かっこいいデザインなんだけど、画面が真っ暗すぎて全然見えないのだ。しかも頭部(上半身)が母体となったプレデターと似ているものだから、ぱっと見のシルエットではどっちが出たのか分からなかったりする。非常にもったいない、不遇なキャラである。
 それにしてもこの画面の暗さ、とくにホラー映画っぽい雰囲気を醸し出してるわけでもないし、どうにかならなかったのだろうか。アクションシーンも暗かったり、一瞬だったりで今ひとつ盛り上がりに欠ける。せっかく美しく造形された着ぐるみのモンスター、出し惜しみせずにバンバン出した方が確実に需要に適っていたと思うのだが。

 ……という感じで、ぼやーっと思ったことを書き連ねてみたら、全体に物足りない作品みたいになってしまってるが、どこを取ってもガッカリな作品ってわけでは決してない。一例をあげると森のシーン。トータルで10分くらいだと思うけど、とても雰囲気がいい。倒木や下生えの陰から現れるフェイスハガーなんてとくに秀逸。一瞬だけど。このフェイスハガーと、あとチェスト・バスターに関しては、わりといいシーンが多いから、フェイスハガーとチェスト・バスターのファンの人にはごく地味にオススメ。ディスクには特典映像がたっぷり収録されてるので、買って損した! って気分にはならないと思う。



『AVP2 エイリアンズ VS.プレデター』(“ALIENS VS. PREDATOR: REQUIEM”)
 2007 アメリカ
 監督:コリン・ストラウス/グレッグ・ストラウス
 脚本:シェーン・サラーノ
 製作:ジョン・デイビス/デイビッド・ガイラー/ウォルター・ヒル
 出演:スティーブン・パスカル/レイコ・エイルスワース/ジョン・オーティス/ジョニー・ルイス
 上映時間:94分


にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

『恐怖のいけにえ』

 恐怖のいけにえ

 三人の美人TVクルー「ジェニファー」「カレン」「ビッキー」は、カーニバルの取材にカリフォルニアの小都市ソルバンクを訪れた。ところが痛恨のホテル予約ミス。祭りで賑わう町には一つの空室もない。くそー車内泊かよーと諦めかけたところに救いの手が差し伸べられた。たまたま知り合ったカエル顔のおっさん「ケラー」が、自宅に泊めてくれるというのだ。郊外にある彼の屋敷は、クラッシックでなかなか豪華な作りである。妻と二人で暮らしているらしい。
 体調を崩したビッキーを一人部屋に残し、取材に出かけるジェニファーとカレン。床の通風孔から這い出した何者かが、ビッキーに忍び寄る。

 タイトルは『悪魔のいけにえ』(1974)を彷彿とさせるが全く無関係、ってわけでもなくて、パッケージのスタッフリストによると『悪魔のいけにえ』の脚本家が原案として参加しているらしい(あれの脚本って?? ってツッコミは無し)。他にも何やらその道の人がずらずらと並んでいて、撮影の人が後に『ファンタズムⅡ』(1989)の製作やってるとか、スタッフ・キャストだけ見るとなかなか楽しめそうな作品ではある。まあ実際には本編が始まる前のキャストのコメントを見た時点で、微妙に不安な気分にさせられるのだが(見覚えのない俳優が「オレが出た中で一番怖い作品だよ! オムツ着けてがんばった! いえ~い!」なんて言ってる)。

 内容はツーリストトラップもの。屋敷に隠れ棲む何者かによって、TVクルーが次々と殺害されていく。夫婦はその何者かを地下室に匿ってるらしい。実にシンプル設計。古き良き~って感じのオーラビンビンなので(1980年の映画です)、オーソドックスなスラッシャーかと思って見てたのだが、これが大間違いだった。その「何者か」が大問題だったのだ。
 盛大にネタバレになってしまうが、夫婦が屋敷の地下室に匿っていたのは「ジュニア」こと二人の愛息、パワー系の知的障害者だったのである(オムツ着用)。さんざん焦らしてこれかよ! ってのもあるけど、問題はそのジュニアの描写である。妙に筋肉質でずんぐりした体型をグレーに汚れた布切れで包み、きったないオムツを当てている。目の焦点は合ってないし、ろくに言葉も話せない様子。そして昆虫や小動物を殺すように、簡単に人を殺してしまう。
 よく知られているように、この手の作品には知的障害者っぽいキャラが頻繁に登場する。派手な暴れっぷりばかりが印象に残るが『悪魔のいけにえ』の「レザーフェイス」や『13日の金曜日』(1980)の「ジェイソン」などは、紛れもなくそういう属性を付与されたキャラクターだ。しかし本作のジュニアは、それら超人的(怪物的)なキャラとは明らかに一線を画している。俳優自ら施設に足を運んで研究したというキャラクター造形がリアル過ぎるのだ。そのせいでジュニアのパワーが炸裂するクライマックスのアクションにも、なんとも言い難い哀愁が漂っていて爽快感がない。熱演ではあるのだが。

 この作品には派手な流血シーン、ゴアシーンはほとんどない。実は夫婦とジュニアの出生には重大な秘密があって、それに関する過去の一連の出来事が劇中で語られるのだが、そこが一番怖かったので(妊娠→去勢→殺害のくだり)、音声のみで回想じゃなくて映像化して欲しかった。
 おっぱいは最初に殺害される女性一人分(入浴シーン)。予想外に丁寧に作られた作品だったが後味は悪い。映像特典89分収録。



『恐怖のいけにえ』(“THE UNSEEN”)
 1980 アメリカ
 監督・脚本・原案:ピーター・フォレグ
 製作:アンソニー・B・アンガー
 出演:バーバラ・バック/シドニー・ラシック/スティーブン・ファースト/レリア・ゴルドーニ/カレン・ラム
 上映時間:91分


にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

『シン・ゴジラ』について

 ギターやってる風の親戚の兄ちゃんっていうと、誰しも一人や二人は思い当たる人物がいるかと思う。俺がそうだったよって人もいるに違いない。それらしいポスターが壁にべたべた貼られた部屋に遊びに行くと、ギターは触らせてくれないが、スモーク・オン・ザ・ウォーターの最初のところだけ弾いてくれる、そんな人。初めて「あのゴジラ」を見たのは、そんな兄ちゃんの部屋でたまたま発見した雑誌の表紙だった。燃え上がる真っ赤な都市を背景に、電車を咥えた巨大な怪物が仁王立ちしている。一見、写真なのか、絵なのか分からない。しかし悪夢のような怖ろしい絵面だ。どう見てもゴジラなんだけど、それまで児童書などに載っていた愛嬌のあるゴジラとは全く異なっていた。
 自分は昭和平成のゴジラ映画を劇場で見たことがない(ハリウッド版は見た)。というかつい最近まで大半の作品をマトモに見たことさえなかった。ただゴジラ映画とは関係なく香山滋の作品には接していたし、あの表紙のゴジラの強烈な印象はずっと心に焼き付いていた。

 今ではあの雑誌が『日本版 スターログ 1983年10月号』だったことも知っている。表紙の画像は『ゴジラ』(1954 初代ゴジラ)のスチール写真に着色したものだった。あの異形のゴジラは着ぐるみの検討用として造られた立体物で、ファンの間では「ひな形ゴジラ」と呼ばれている。必要に応じて画像に修正や合成など色々手を加えられ、当時様々な宣伝媒体で用いられていたらしい。手元にある資料本『大ゴジラ図鑑』には、その製作の過程が詳しく掲載されていて、初代ゴジラが原爆のキノコ雲をモチーフにデザインされていたことがよく分かる。左右に大きく張り出した頭部にごく小さい目、明らかに人の入ってないフォルムを古木の樹皮のような激しい凸凹がうねりながら覆っている。自分はこの奇怪なバランスの「ひな形ゴジラ」が大好きなのだ。「シン・ゴジラ」は正しくゴジラ最初期のコンセプトに立ち返ってデザインされたのだろう。二つ目の予告編にその威容が映し出されたとき、あれ、これってあのゴジラじゃね?? って感じた人は、自分の他にも少なからずいたと信じている。本編で頭部に集中砲火を浴びて爆煙に包まれる様子は、まさに都市を直撃した原子爆弾のキノコ雲そのものって感じで、パンフレットの表紙の画像からも立ちのぼるキノコ雲っぽいニュアンスを感じることができる。↓ 爆煙のようにも、ケロイドのようにも、ワニの表皮のようにも見える体表の表現が素晴らしい。

2016080601.jpg

 というわけで『シン・ゴジラ』見てきました! いやーまじでよかった。先日書いたように、やっぱあのゴジラのデザインを採用したスタッフに間違いはなかった。自分はこの手の映画に強いメッセージ性なんていらないと思ってるんだけど、ゴジラに関しては成り立ちからしてそういうものとは不可分。『シン・ゴジラ』は真顔で言ったら胡散臭くなりそうなそんなお題目を、わくわくするようなビジュアルで見せてくれる作品だった(だからこそ唯一これ必要なかったのでは? と感じたのは石原さとみのキャラ……ではなくて、半減期の特殊な核物質の設定だった)。作品の印象はまじで「会議とゴジラ」。それと陸自のヘリ(もうすぐアオシマから発売されるOH-1もちらっと登場)のかっこいいこと。芹沢博士的なキャラがいないことに一抹の寂しさを感じたが、リアル日本が歩んできたのは確かにそういう道だ。
 最初のうちはなんじゃこりゃって笑って見ていたのだけど、どんどんそんな風にはしていられなくなった。とんでもない惨状ととんでもない戦術に唖然とすると同時に、日本人が捨て身になれば、ここまでやれるって感じがたまらなかった。

 ネット上では公開前からゴジラのデザインがイマイチじゃねって話がちらほらあったのは知っているが、できるだけネタバレを避けてたこともあって(実はまだパンフも未開封)、公開から一週間経ったこの作品がどんな風に評価されてるのかはわからない。劇場内の立て看板? を見たお子様が怯えて騒いでたので、小さい子供には怖すぎるかもしれないけど、中学生以上ならきっと楽しめると思う。ヘリ好きの人にも、そうでない人にもおすすめです。


にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

『原始獣レプティリカス 冷凍凶獣の惨殺』

 原始獣レプティリカス 冷凍凶獣の惨殺

 現在絶賛公開中の『シン・ゴジラ』(2016)、いつになったら見に行けるのか不安な数日を過ごしてたのだが、ようやく今週中に劇場に行けそうなメドが立った。めっちゃ楽しみ! きっとすごい作品に違いない。見もしないうちになに言ってんだ、と思われるかもしれないが、とにかくあの「シン・ゴジラ」のデザイン&造形が好きなので、アレにOKを出したスタッフならきっと素晴らしい作品を作ってくれると信じているのだ。
 CSではそんな話題作のおかげで美味しい関連作品が何本も放映されている。先日は『原子怪獣現わる』(1953)『パシフィック・リム』(2013)『怪獣ゴルゴ』(1961)を連続でやってて、円盤持ってるのにダラダラと見てしまった。あとこれに『キング・コング』(1933)と『プルガサリ 伝説の大怪獣』(1998)あたりを加えれば、「ゴジラ」周辺の主要な作品がとりあえず出揃う感じのラインナップだ。

 てことで昨日寝る前に、珍しいデンマーク製の怪獣映画『原始獣レプティリカス 冷凍凶獣の惨殺』を見た。

 ラップランドの鉱山から凍り付いて化石化していない古生物の体の一部(尻尾)が発掘され、コペンハーゲンの研究所へと送られた。研究所では管理ミスから標本を解凍してしまうが、その結果生物がまだ生きており、傷口が再生しつつあることが判明する。そこで研究所では標本を水槽に移し、栄養を与え続けることにした。
 やがて標本(古代の爬虫類)は科学者たちの予想を上回る成長を遂げ、雷の鳴り響く夜に水槽から逃走する。尻尾から再生し巨大モンスターと化した生物は、調査の結果、水中に消えたらしいことがわかった。警戒を強めた軍は、陸上に現れた怪獣「レプティリカス」を攻撃、さらに海中に逃れたところに爆雷攻撃を敢行する。
 結局、トドメを刺すことができずに数日が過ぎ、再び白昼のコペンハーゲンの街に現れたレプティリカスは、数百メートルのサイズまで成長しており、狂ったように街を破壊しはじめた。
 この水陸両生の巨大爬虫類「レプティリカス」は、これまで確認された古生物とは全く異なった生物である。口から緑色の「酸性粘液」を吐き、人を喰らう。めっちゃ凶暴だ。バラバラになった体の断片からも全身を再生する可能性があるため、爆薬を用いた攻撃ができない。さて、そんな厄介な怪物を軍は撃滅することができるのだろうか。

「特撮のチャチさでZ級怪獣映画と長年云われてきた」なんて解説に堂々と書いてあるから、バカ映画なのかなーとか思いつつ見始めたが、デンマーク人の気質によるものか、非常に真面目に作られたまっとうな怪獣映画だった。まずプロローグがよかった。ボーリングのドリルの先端を調べてみると、土砂に混じってリアルな組織片(グロい)と血液が見つかる。冷凍マンモスの話なんかも出てきて、興味をそそられる導入である。それから軍隊が一方的に攻撃する第一回戦もよかった。ギョエェーとか叫びながら緑の毒液を吐き散らかす怪獣の姿が印象的で、まさに「凶獣」って感じ。

 怪獣の発見から攻防までをぶれずに描ききった本作では、怪獣が成長しきるまでの「間」がネックになっている。そのため中盤で怪獣が逃走するまではかなりぐだぐだで、次々に登場する人物の挨拶で時間を使ったり、どうでもいいようなコメディっぽいシーンが挿入されたり、長々とコペンハーゲンの観光地が映し出されたりする。
 レプティリカスが白昼堂々と登場してからの展開は、科学者チーム→軍隊へのバトンタッチがスムーズに行われないこともあって、多少のもたつきこそあるものの、ものすごい数のエキストラによるパニックシーンや、コペンハーゲンの大破壊(大ってほどでもないかな)など見どころが多い。特撮も「酸性粘液」の表現以外は思ったより悪くなかった。コペンハーゲンの美しい街並みが再現されたミニチュアもよくできていたし、そこで体をくねらせて暴れまわる怪獣も気持ち悪くてよかった。このレプティリカス、見た感じは「ヘビ」……というか『海底軍艦』(1963)の「マンダ」をクシャっとしたような形態で、劇中では操演とパペット(手踊り)により表現されているように見える。パペットだとすると撮影に用いられた怪獣はかなり小さいはず。またモノモノしい軍隊の客演も見どころの一つになっているが、怪獣と軍隊(戦車、歩兵)との距離感や目線がまるでデタラメなあたりに、製作者の不慣れさ、手探り感がにじみ出ている。それでも最後の「お約束」まで真面目に作られてるのには好感が持てた。



『原始獣レプティリカス 冷凍凶獣の惨殺』(“REPTILICUS”)
 1961 アメリカ/デンマーク
 監督:シドニー・ピンク
 出演:ベント・メディング/アズボーン・アンダーソン/アン・スミルナー/ミミ・ハインリヒ/カール・オットーセン
 上映時間:81分


にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

『恐怖の吸血美女』

 恐怖の吸血美女

 19世紀、ヨーロッパのとある山の麓の村は吸血鬼の影に怯えていた。崖の上の城の一族は滅んで久しいが、いずれ蘇り再び血を求めて村人を襲うと信じられていた。ある時、吸血鬼っぽい二人の男女によって村の娘が連れ去られた。娘の血は忌まわしい儀式に供され、やがて美しい吸血鬼が復活する。それから時を置かず、城のすぐそばの全寮制の花嫁学校が新しい生徒を迎え入れた。彼女の名は「ミルカーラ」、吸血鬼である。同じ頃、文学の教師として怪奇小説作家の男が赴任してきた。彼はミルカーラを一目見るなり恋に落ちてしまう。モヤモヤとした関係を築きつつある二人の周囲に、嫌な事件が頻発するようになった。村の酒場の女、ミルカーラと同室のレズビアンの娘、学校の男性教師が次々と行方不明になったり、死体で発見されたりする。そしてそこには常にミルカーラと、その家族らしき人物の影が見え隠れしていた。

『吸血鬼カーミラ』(“Carmilla”)を原作にしたハマー映画『バンパイア・ラヴァーズ』(1970)の続編。こっちには原作がなくて、『リング2』(1999)みたいなオリジナル展開となっている。
 実はこの映画、スタッフやキャストにトラブルがあって、当初の予定とは違った形で完成してしまってるらしいのだが、実際に見てみると結構いい雰囲気の作品だった。ただ物足りない所はあって、それが作品の売りになってるような所だったりするので、いくつか書いておきたい。まずおっぱいの扱いが雑。これはいただけない。ストーリーとはまるで無関係に、通りすがりのようにおっぱいが出る。ほんと出るだけなので、脱いでる人が気の毒になってくる。また肝心な所ではヒロインのミルカーラ役の人が、どうも吸血鬼役に向いてないように見える。ブロンドの綺麗なお姉さんなんだけど、どっちかというと被害者役がぴったり。美しく気高く、時に怖ろしい女吸血鬼を期待してるとがっかりするかも。それからストーリー上で生きてきそうな人材(レズビアンの娘、歴史の教師、警部)が、ほとんど活躍しないうちに退場してしまうのも惜しい。そしてそんな風に散々枝葉が払われたにも関わらず、この作品のメインのストーリーって、もしかして地味な三角関係のラブストーリー?? って気付くのが、ラストちょい前だったりする。
 古城をはじめ、村の酒屋、乱雑な教師の私室などのセットは、さすがに素晴らしい出来栄えで、この作品が持つ有無を言わせない「本格派」なオーラはこれらセットによるところが大きい。峻険な山の頂にそびえる吸血鬼の城の、そのすぐ隣にパラダイスな女子校があって生徒たちがゆるゆるとダンスに興じている、といった異空間な描写は瑕疵ではなく魅力の一つだろう。各シーンに応じた色彩で鮮やかなメリハリが付けられているので、画面を眺めているだけでも結構楽しい。

 といった感じの作品なので、ながら見には最適かと思いきや、時折我に帰ったようなかっこいいシーン(復活シーンとか)があるから、うっかり画面から目を離せなくなる。おっぱい、レズビアン等、お色気目当てに見るのにも、今一つ不向きな作品。



『恐怖の吸血美女』(“LUST FOR A VAMPIRE”)
 1971 イギリス
 監督:ジミー・サングスター
 出演:ユッテ・ステンスガード/ラルフ・ベイツ/バーバラ・ジェフォード/スザンナ・リー/マイケル・ジョンソン
 上映時間:95分


にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

『ルームズ・フォー・ツーリスト』

 ルームズ・フォー・ツーリスト

 たまたまバスに乗り合わせた五人の女性が、アルゼンチンのとある田舎町で一夜を過ごす事になった。彼女たちが投宿するのは町で一番大きな屋敷。そこにはオーナーの男性二人の他、見るからにいかがわしい「伝道師」を名乗る男が宿泊していた。夕食を終え、ひとまずはリラックスしたひと時を過ごす彼女たちだったが、日が暮れると状況は一変する。どこからか絶叫が響き渡り、屋敷の照明が落ちた。悲鳴の主は部屋に大きな血痕を残して消え失せていた。この屋敷には凶悪な何者かが跳梁しているのだ。逃げ出そうにも、全ての窓と出入り口が塞がれてしまっている。果たして彼女たちは生き延びることができるのか。

 低予算のスラッシャームービーに極端に残酷で雑な特殊メイクや、天然お笑い要素、脱力感を求める人には、少々期待はずれな作品かも知れない。宿泊先で殺人鬼と遭遇する旅行者という定番中の定番の定番なネタに対して、予想外に真面目なアプローチがなされている。
 基本的には92分の間、五人の女性がひたすらギャーギャー叫びながら逃げ回ってるだけの作品だが、よくあるスラッシャーと違うのは、彼女たちがここに至ったウラ事情や事件の概要らしきものが、随所に巧みに仄めかされていて、無いようでしっかりとあるストーリーへの興味を最後まで途切れさせない所だ。そして劇中で提示される謎はラストで綺麗に解明される。その点ではかなりミステリー寄りの作品だと思う。

 実はこの作品、冒頭からこれいつものと違う……って感じのオーラを濃厚に漂わせている。木漏れ日の美しい森を散歩してた女の子が、犬を追いかけて私有地に入り込み、ヤバいものを見つけてしまう場面。なんとも言えない緊張感がひしひしと伝わってくる素晴らしいプロローグで、モノクロの画面(モノクロ映画です)が醸し出す雰囲気も抜群だ。
 肝心のスラッシャー/ホラー分はというと、派手さは無いけど鉈で手の平を裂いたり、腕がもがれたり、頭蓋骨を砕いたりと、ゴア描写はかなり充実している。マスクの怪人のキャラがやや弱く、あまり活躍しないのが物足りないと言えば物足りない所だが、ハラハラする映画が見たい! って人にはおすすめの作品。



『ルームズ・フォー・ツーリスト』(“HABITACIONES PARA TURISTAS”/“ROOM FOR TOURISTS”)
 2004 アルゼンチン/メキシコ
 監督:アドリアン・ガルシア・ボグリアーノ
 出演:エレナ・シシリトー/ジメナ・クロコ/マリエラ・ムジカ/ブレンダ・ヴェラ/ビクトリア・ウィッテンバーグ
 上映時間:92分


にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

『火山湖の大怪獣』

 火山湖の大怪獣

 映画の感想が続いてしまうが、さっき見終わったとこなので忘れないうちに。まず最初にこの作品にはジャケット↑に描かれているタイプの獣脚類っぽい恐竜は登場しない。出てくるのはプレシオサウルスのような首長竜のみである。

 舞台は「クレーター・レイク」という湖。その周辺住民の散漫な生活と、キャンパーや家畜をつまみ食いする首長竜の生態が全く別々に描かれている。周辺住民と首長竜の活動が本格的に交わるのはラスト十数分なので、それまではたまーに出てくる首長竜に癒されつつ、住民の面白くもなんともない日々の生活や、近隣の町で唐突に発生した強盗事件などを延々と眺めることになる。そもそもこの作品には主人公らしい主人公がいない。半分くらい見た所で『トレマーズ』(1989)の二人をハゲさせて老けさせて、もっとダメにした感じの二人組みがもしや主人公?? と気付いて愕然とする。
 またこの作品には真昼間から「こんな沢山の星、見たことないわ」なんて言いつつ女性がうっとり空を見上げたり、真昼間なのにライト点けっぱなしの車からおっさんが懐中電灯を光らせて降りてきたり、そんなシーンが頻出する。映画撮影の技法にフィルターなどを用いて昼間を夜間に見せる「Day for Night」というのがあるが、そのフィルターかなんかをうっかり忘れたらしく、ずっと昼間のままになってしまっているのだ。幸い「何時頃の出来事か」に関してはあまり重要な作品ではないので、「こりゃ見やすくていいわ」くらいに構えての大らかな鑑賞がオススメ。

 そんな隙だらけな作品だが、ストップモーション・アニメの匠「デヴィッド・アレン」が特撮スタッフとして参加しているという強力なセールスポイントもある。首長竜の出てくる40弱のカットは彼の手によるものだ(劇中ではストップモーション用のミニチュアモデルの他に、大サイズの頭部のハリボテも使用されている)。このデヴィッド・アレンという人は、作品に恵まれているようなないような微妙な境遇の人で、彼の携わった作品では、彼の仕事自体が最大のセールスポイントとなっていることが多い。最も有名なのは多分『ニューヨーク東8番街の奇跡』(1987)あたりだと思うが、代表作なら広川太一郎のめちゃくちゃな吹き替えが印象的な『おかしなおかしな石器人』(1981)だろう。緑のトカゲに乗ったリンゴ・スターやデブのティラノサウルスが出てくるコメディ映画で、女優さんも可愛い。
 本作の首長竜はというと、体表のほど良くリアルな質感と、首の太いデフォルメ気味の体型が相まって、独特のキャラクター性を有している。ただ登場するシーンがごく短いため、集中してないとすぐに見逃してしまう。おかげでながら見には全く適さない作品となった。

 それにしても身動きするだけで災害が発生するスケールの怪獣と比べると、10メートル弱くらいの首長竜を一匹登場させるだけでは、住民がパニックに陥ったり、派手な戦闘が生じるドラマを練り上げるのは至難の技だと思う。その点で『ジョーズ』(1977)はやっぱすごかった。もちろんこの作品がそれに果敢にチャレンジして、その結果こうなってしまったわけではなさそうだけど。



『火山湖の大怪獣』(“CRATER LAKE MONSTER”)
 1977 アメリカ
 監督:ウィリアム・R・ストロンバーグ
 出演:リチャード・カーデラ/リチャード・ギャリソン/グレン・ロバーツ/マーク・シーゲル
 上映時間:83分


にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

『虐殺の週末』

 虐殺の週末

 昨日アニマックスでコナンの見たことないエピソードをやってたから、楽しみに帰ってきたら予約録画を失敗してた。録れてたのは最初の30分。再放送も少し先っぽいので、夕飯を食べつつ、まとめて買ってまだ見てなかったDVD『虐殺の週末』を見た。愛読してたスクリーンネオブックスの『THE HORROR MOVIES』で紹介されてたので、タイトルだけ知ってた作品だ。

 タイトルバックはどこかの森の中を逃げ惑う白いワンピースの女と、ぬぼーっと立ってる少々頭の足りなそうな男、唸りをあげるチェーンソーのカットバックに、だらっとした感じのギターのストリングス。画質も荒れてるし、予算の少なさが丸分かりの予想通りのスタートだが、森の緑がやけに綺麗。
 ストーリーはニューヨーク在住のヒロインが、離婚した元夫に子供を押し付けて、新たな恋人や友人と一緒に田舎の別荘でセックス&パーティ漬けの週末を過ごそうとしたところ、奇怪なマスク(↑ジャケット参照)の殺人犯が現れ、男ばかりが次々と殺されていくというもの。『悪魔のいけにえ』(1974)や『ハロウィン』(1978)と同じジャンルの作品だ。びっくりするほどセリフが少なく、登場人物が目的もなくふわふわだらだら動いてるような印象を受けるが、だからと言って演出その他でそれを補う必要があるほどの内容でもない。よく言えばその辺の人をぼんやり写したような、不自然なくらいの自然さがある。シーンの繋ぎはかなりぶつ切りで雑な感じ。

 ヒロインをはじめ登場する女性は総じて太り肉で、横になると自然に流れる天然おっぱいをどんどん晒している。濡れ場も多め。殺人シーンはいくつかあるけど、内臓が飛び出したり、血がドバッと噴き出すような描写はない。ただし足の裏に刺さった釣り針をペンチで引き抜いたり、長い針を耳に刺して殺したりと、地味ながらいたたたたたたたたたってシーンがあるので、おっぱいだけを目当てに見ると痛い目を見る。あと特筆すべきは俳優陣のいい仕事ぶりで、死に際に見事に痙攣するゲイの人、ガーターベルト姿で緊縛される女優の本気の抵抗っぷりなど、迫真の演技が印象に残った。焼ごてのシーンも良かった。
 この映画はもともとドライブインシアター用に製作されたらしく、言われてみれば確かに超ぼんやり見てても、ながら見でもわりと大丈夫な作りになっている。なのでプラモとか作りながら70年代っぽいスラッシャームービー流したい人にはオススメ度65%。もちろんしっかり集中して見れば、次のシーンはエロが来るのか、それともグロか(←そんなグロでもないけど)っていう微妙な緊張感だかなんだかを楽しめること受け合い。



『虐殺の週末』(“SAVAGE WEEKEND”)
 1979 アメリカ
 監督:クロード・プシュキン
 出演:クリストファー・オールポート/ジェームズ・ドゥアー/デヴィッド・ゲイル/リリン・ハムリン
 上映時間:88分


にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
(この一行は、各ページ下部に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)