『ほんとにあった怖い話〈20〉読者の恐怖体験談集』

ほんとにあった怖い話〈20〉読者の恐怖体験談集』朝日ソノラマ 1993 ハロウィン少女コミック館

 20代後半?のOLのKさんからちょっと不思議な話を聞くことができた。こっちからは全然尋ねてもないのに、「昔、この辺に住んでたんですよねぇ」って感じで、勝手に話しはじめてくれたのだ。ありがたい。ここのところゲロ出そうなくらい忙しかったのだが、捨てる神あれば拾う神あり、ごくまれにいいこともある。

 水田が所々潰されて、新興住宅地になりつつある地域である。Kさんは学生の頃、この辺のアパートから電車と徒歩で片道30分かけて、隣の市の大学まで通っていたのだそうだ。アパートはKさんが入居する直前にリフォームされて、やけに小綺麗だったらしい。しかも家賃が格安。彼女の友人の同じような部屋が月4万円、彼女の部屋は1万8000円だったというから、半額以下だ。
 ただ、さすがに安いだけあって、アパートの作り自体は安っぽく、壁は薄いし、二階への外階段はよほど気をつけても足音が「バインバイン」と響く無骨な鉄骨製だった。で、ある朝、外が騒がしいので廊下に出てみたら、その階段が無くなっていた。正確には根元から4本の鉄骨がポッキリ折れて、綺麗に横倒しになっていたらしい。「あんなの倒れたら絶対気付きますよ。風が吹いてたわけでもないし、どうして倒れたのか……」
 二階の住人だったKさんと隣室のお姉さんは、その日、「小さい消防車」のハシゴを使ってようやく下に降りることができた。家賃からして何らかの曰くがあったのかもしれないが、このこと以外、怪しい出来事は全く無かったとのこと。

 というわけで、全然怖くないけど、念願のちょっと不思議な話でした。嬉しかったのは、Kさんがオカルト関連に全く興味がなさそうな人柄だったこと、「ただそれだけの話」とはいえオリジナリティが感じられたこと。実はこれより少し前に他の人から、もうちょい怪談らしい話を聞いたのだけど、地方の出来事ながら新聞沙汰になった投資詐欺ががっつり絡んでいて、検索してみたらまだまだ関連情報が出てきたので書くのやめてました。

 さて本題。今回この第20巻には珍しい趣向がある。カバーのソデには→「多少霊感のある人ならば、かならず経験があると言っていい“金縛り”と“予知夢” —この2大テーマの恐ろしい体験を収録!!」とある。
「金縛り」と「予知夢」、業界的にはかなり地味なこれらのネタが選ばれたのは、体験を共有する読者が多そうとか、そんな感じの理由からだと思われるが、テーマを絞っただだけあってまとまりのある一冊になっている。ただ当たりかというとそうでもなくて、ややハズレ寄りというのが正直なところ。やっぱ地味だった。
 収録されたエピソードの中で、ガチで「予知夢」って感じの話は「第十話」。身の回りの小さな予知だけじゃなくて、湾岸戦争の予知までしてる。メインの現象の前兆として生じることの多い「金縛り」は、それだけで面白くするには難しいテーマなので、それに付随して生じる現象がメインになっている。印象的だったのは予知夢・金縛りのそれぞれの体験者が、いやよいやよと言いながら、かなりはっきりと優越感を持っているところで、これまでもそんな風に感じることはあったが、この巻ではそれがより顕著な感じ。上記のカバーのリードを信じるなら、金縛りにも予知夢にも無縁な自分には、霊感は全く備わっていないようだ。



『明け方の報せ 他』画・佐和田知生 ’92『ほんとにあった怖い話』7月号、『ハロウィン』8月号 掲載
 「第一話 明け方の報せ」投稿者・東京都 茂手木裕美さん ※虫の知らせ
 「第二話 台風の夜」投稿者・埼玉県 P.N北野椿さん ※学校(塾)の怪談・金縛り

『第三話 母が見ている』投稿者・大阪府 匿名希望さん 画・ひとみ翔 ’92『ほんとにあった怖い話』7月号 掲載 ※不思議な夢
 
『妖かしの桜 他』画・七色虹子 ’92『ほんとにあった怖い話』9月号、12月号 掲載
 「第四話 妖かしの桜」投稿者・宮城県 高橋知美さん ※不思議な夢
 「第五話 闇からの呪文」投稿者・大阪府 高松朋美さん ※コックリさん・金縛り

『第六話 霊現象は睡魔と共に…』投稿者・栃木県 星樹綾さん(P.N) 画・南地裕子 ’92『ハロウィン』5月号 掲載 ※心霊写真・不思議な夢

『第七話 幽霊テレビ』投稿者・岡山県 匿名希望さん 画・植松麻里 ’92『ハロウィン』4月号 掲載 ※金縛り

『夢の中の絵 他』画・谷ゆたか ’92『ほんとにあった怖い話』7月号、9月号 掲載
 「第八話 夢の中の絵」投稿者・愛知県 Miss味子さん(P.N) ※予知夢
 「第九話 死霊の足音」投稿者・宮城県 佐藤浩子さん(P.N) ※虫の知らせ

『夢なら夢でも… 他』画・黒田祐乎 ’92『ほんとにあった怖い話』9月号、11月号 掲載
 「第十話 夢なら夢でも…」投稿者・長崎県 中村和子 ※予知夢
 「第十一話 伝染性怪現象」投稿者・千葉県 常夏娘さん ※金縛り・伝染する怪談



『ほんとにあった怖い話〈20〉読者の恐怖体験談集』
 朝日ソノラマ 1993 ハロウィン少女コミック館
 著者:ひとみ翔 他

 ISBN-13:978-4-2579-8246-3
 ISBN-10:4-2579-8246-2


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『ほんとにあった怖い話〈19〉読者の恐怖体験談集』

ほんとにあった怖い話〈19〉読者の恐怖体験談集』朝日ソノラマ 1992 ハロウィン少女コミック館

 さすがにこのあたりまで読んでくると、目次の段階で当たりハズレの見当がつくようになってくる。カバーのソデには「ほんとに、ほんとに、ほんと〜に体験しちゃった恐怖の体験、不思議な体験をマンガ化するシリーズ。ゾクゾクパワー、ますますアップ。」なんて書いてあったけど、見たところまずまずかなーって感じで、実際にそうだった。
 この巻の特徴は建物や土地にまつわる怪異譚が目立つこと(「第一話、第三話、第五話」など)。また下のリストの通り長めの作品も多い。前巻に続いて学校の怪談系のネタは皆無である。この時期、姉妹シリーズの『ほんとにあった怖い話 作家編』がスタートしていることからも、マンネリ回避のための試行がなされていたのかもしれない。

 ソデにあったゾクゾクパワーを存分に感じられるのは、収録作の中では「第五話 悪霊住宅」が唯一だった。もうタイトルからして並々ならぬ気合が感じられるが、トビラ含めて24ページの中に比較的地味な「手の怪」、ラップ音から、布団の上に乗ってくる系の複数の幽霊、逆柱(?)っぽい怪異まで「うちで起きたら嫌なこと」が詰め込まれている。作画も上々で、ページのめくりの効果もしっかり計算されている。ささやななえこ(ささやななえ)の名作『空ほ石の…』を彷彿とさせる怖いシーンもある。もともと絵の上手い人らしいが、マジで読者をビビらせてやる!! って気合がひしひしと感じられた。

 その他に印象的だったのは「第一話 ゆうれい居酒屋」と「第八話 最後の買物」。「第一話」はタイトルの通り霊的な現象が頻発する居酒屋の話。怪異自体はごくスタンダードなものだが、投稿者が一人だけ徹底して何も感じないのが面白かった。「第八話」は信楽焼のでっかいタヌキを買いに幽霊が骨董市に来る話で、なんとなく幸田露伴っぽいネタ。絵柄は淡白でホラー漫画としてはどーかと思うが、ほっこり系の話によくはまっていた。ここに出てくる骨董市に多分行ったことがある。



『第一話 ゆうれい居酒屋』投稿者・大阪府 高松明美さん 画・七色虹子 ’92『ほんとにあった怖い話』5月号 掲載 ※職場の怪談

『第二話 会いたくて淋しくて』投稿者・東京都 山崎悦子さん 画・黒田祐乎 ’92『ほんとにあった怖い話』7月号 掲載 ※家族の心霊体験

『第三話 異界の客達』投稿者・栃木県 松本裕子さん 画・山口夏実 ’92『ほんとにあった怖い話』5月号 掲載 ※霊感少女・職場の怪談

『第四話 のびる腕』投稿者・宮崎県 匿名希望さん 画・渡辺杜都 ’92『ほんとにあった怖い話』7月号 掲載 ※霊感少女(主婦)

『第五話 悪霊住宅』投稿者・大阪府 匿名希望さん 画・浅野まいこ ’92『ほんとにあった怖い話』3月号 掲載 ※幽霊屋敷

『真夜中の泣き声 他』画・三浦尚子 ’92『ハロウィン』3月号 掲載
 「第六話 真夜中の泣き声」投稿者・北海道 須佐邦子さん ※水子
 「第七話 下校時の遭遇」投稿者・千葉県 匿名希望さん ※路上の怪

『最後の買物 他』画・天ヶ江ルチカ ’92『ほんとにあった怖い話』5月号、7月号、’92『ハロウィン』1月号 掲載
 「第八話 最後の買物」投稿者・東京都 柴田貴代さん ※骨董の怪談
 「第九話 午後の訪問者」投稿者・奈良県 中尾有香子さん ※ドッペルゲンガー
 「第十話 最後の別れ」投稿者・山形県 五十嵐理恵さん(P.N) ※家族の心霊体験



『ほんとにあった怖い話〈19〉読者の恐怖体験談集』
 朝日ソノラマ 1992 ハロウィン少女コミック館
 著者:七色虹子 他

 ISBN-13:978-4-2579-8233-3
 ISBN-10:4-2579-8233-0


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『ほんとにあった怖い話〈18〉読者の恐怖体験談集』

ほんとにあった怖い話〈18〉読者の恐怖体験談集』朝日ソノラマ 1992 ハロウィン少女コミック館

 学校の怪談やコックリさんなどのポピュラーなネタはすっかり影をひそめ、家と職場にまつわる体験談が中心の巻。投稿者の年齢は前巻に続いてやや高めで、海外からの投稿もある。全体の印象はライトな絵柄、ソフトな怪異表現といった感じ。各話ごとに様々な怪異が生じてはいるが、総じてゆるめの話で占められた一冊だ。ところがそんな中に一編、とんでもないエピソードが含まれていた。泥の中のダイヤモンド、いや、ポップコーンの中の臼歯って感じの傑作エピソード、それが「第七話 子供達の家」である。作画はこれまでにも良作をものにしてきた時任竹是。

「第七話 子供達の家」のストーリーはいたってシンプルだ。千葉県A市の新興住宅地に越してきた当時10歳の投稿者が、新居で複数の子供の霊や動物霊を目撃し様々な怪異に見舞われるというもの。後にその土地にまつわる曰くが判明する。絵に描いたような幽霊屋敷ものである。作画担当者はそんなシンプルでオーソドックスなストーリーを、極上の作画で極上の作品に仕上げている。トビラ含めて28ページ、一切の隙も妥協も感じられない。トビラからしてめっちゃ怖い。ぐにぐに変化する視点や歪んだ構図が不安感を煽り、ただそこにいるだけのゴーストの姿も素晴らしくイビツに、不気味に表現されている。なかでも3ページにわたって描かれる投稿者とゴーストのファーストコンタクトは秀逸で、まるで自分がそこにいたかのように感じさせられる。絵柄は暗く、じっとりとしていて、古い木造家屋の匂いが漂ってきそうな雰囲気である。上手く例えられないが、つげ義春とひよどり祥子をいい具合にミックスした感じか。
 それにしてもこんな傑作が顧みられることなく埋もれてしまうのは実に惜しい。昨今の雑誌にポンと掲載されても、遜色がないどころか、並の作品なら全く太刀打ちのできないレベルの一編である。幽霊屋敷もののファンにとっては、この一編のためだけにこの本を買ったとしても、きっと後悔することはないだろうと思う。それくらいの作品。

 あとこの第18巻の巻末には、姉妹シリーズ『ほんとにあった怖い話 作家編』の広告が掲載されている。「〜作家編」もなかなか面白いシリーズなのでいずれ感想を書こうと思う。



『さまよえる亡霊 他』画・茶々丸 ’92『ほんとにあった怖い話』1月号、3月号、5月号 掲載
 「第一話 さまよえる亡霊」投稿者・東京都 匿名希望さん ※幽霊屋敷・職場の怪談
 「第二話 ふりむいても誰もいない」投稿者・宮城県 高橋知美さん ※霊感少女・幽霊屋敷
 「第三話 死神が通り過ぎた夜」投稿者・愛知県 名古屋っ娘さん ※家族の心霊体験集

『第四話 からみつく腕』投稿者・大阪府 しゆさん 画・丸傳次郎 ’92『ほんとにあった怖い話』3月号 掲載 ※金縛り・幽霊屋敷

『見知らぬ人影 他』 画・塚田さとみ ’92『ほんとにあった怖い話』5月号、’91『ハロウィン』12月号 掲載
 「第五話 見知らぬ人影」投稿者・静岡県 石川一美さん ※心霊写真・職場の怪談
 「第六話 視線外の世界」投稿者・神奈川県 NAKOさん ※霊感少女

『第七話 子供達の家』投稿者・茨城県 匿名希望さん 画・時任竹是 ’92『ほんとにあった怖い話』3月号 掲載 ※幽霊屋敷・神隠し

『サウスエンド奇禍談 他』画・黒田祐乎 ’91『ほんとにあった怖い話』1月号、3月号 掲載
 「第八話 もうひとりの兄」投稿者・イギリス(ロンドン在住) A.Sさん ※幽霊屋敷
 「第九話 棲みついた影たち」投稿者・兵庫県 A.Nさん S.Yさん ※幽霊屋敷・職場の怪談

「※印」は各話の簡単な分類。サブタイからは内容がよく分からない話などに適当につけた。投稿者名の敬称については作中の表記通り。



『ほんとにあった怖い話〈18〉読者の恐怖体験談集』
 朝日ソノラマ 1992 ハロウィン少女コミック館
 著者:茶々丸 他

 ISBN-13:978-4-2579-8224-1
 ISBN-10:4-2579-8224-1


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『ほんとにあった怖い話〈17〉読者の恐怖体験談集』

ほんとにあった怖い話〈17〉読者の恐怖体験談集』朝日ソノラマ 1992 ハロウィン少女コミック館

 全国の霊感少女、元霊感少女が続々登場して、「山ほどある」心霊体験を競うように披露している。全体の傾向は前巻によく似ているが、作画、構成はかなり向上している。構成に関しては凝れば凝るほど「ほんとにあった」感が失われていくから、痛し痒しといったところ。気になったのは霊感少女たちの霊体験がよく似通っていることで、中には相談事を持ち込まれるようなセミプロもいるのだが、霊体験自体に目立ったところはない。そんな長めのエピソードが大半を占めているため、またかよーと思うことも度々だった。投稿者の多くは主婦やOLで、対象年齢がやや上がってる感じ。

 そんな中で印象的だったのは『窓にうつる少女 他』 の2編、「第四話 窓にうつる少女」と「第五話 蛇の目がさの女」だった。「窓に〜」は旅先のホテルで、「蛇の目がさ〜」は近所の路上で、ただなにかを見ただけのシンプルな話だが(「窓に〜」には後日談がある)、それだけに「なにか」の面白さが重要になってくる。
「窓に~」で窓ガラスに映ったのは、日本人形のようなおかっぱの少女の姿だった。チラッとじゃなくしばらく映ったままだったので、不思議に思った投稿者があれこれと試しているのが面白い。「蛇の目がさ~」の投稿者はその辺の路上で蛇の目傘をさした和装の幽霊を見た。これ以上ないくらいシンプルなエピソードだが、和風情緒たっぷりで、幽霊の表現も押し付けがましくなくて実にいい雰囲気だった。作画の水準も高い。やっぱ短めの話の方がキレがあるな。



『恐怖は雨音と共に…… 他』画・黒田祐乎 ’91『ほんとにあった怖い話』11月号、’92年1月号 掲載
 「第一話 恐怖は雨音と共に……」投稿者・埼玉県 本田奈々央さん(仮名) ※霊感少女・心霊スポット・コックリさん
 「第二話 最後にひと目…」投稿者・神奈川県 仲川慈子さん ※霊感少女

『第三話 摩訶不思議母さん』投稿者・東京都 江川加奈さん(仮名) 画・天ヶ江ルチカ ’92『ほんとにあった怖い話』1月号 掲載 ※霊感少女(霊能者)

『窓にうつる少女 他』 画・佐和田知生 ’91『ほんとにあった怖い話』11月号、’91『ハロウィン』8月号 掲載
 「第四話 窓にうつる少女」投稿者・神奈川県 匿名希望さん ※旅先の怪談
 「第五話 蛇の目がさの女」投稿者・広島県 沖家美津江さん ※路上の怪

『第六話 海辺の幻視(ヴィジョン)』投稿者・神奈川県 P.N あめちゃん(文中では亜希子にしました) 画・山口夏実 ’91『ほんとにあった怖い話』1月号 掲載 ※虫の知らせ

『もうひとりの兄 他』画・渡辺杜都 ’91『ほんとにあった怖い話』1月号、’91『ハロウィン』11月号 掲載
 「第七話 もうひとりの兄」投稿者・匿名希望さん ※ドッペルゲンガー・金縛り
 「第八話 何かが部屋にやってくる」投稿者・福井県 熊谷愛子さん ※金縛り

『第九話 幻の部屋』投稿者・東京都 茂手木裕美さん 画・森須久依 ’91『ほんとにあった怖い話』1月号 掲載 ※旅先の怪談

『闇の中の視線 他』画・植松麻里 ’91『ハロウィン』8月号 掲載
 「第十話 闇の中の視線」投稿者・東京都 山本のぞ美さん ※心霊スポット
 「第十一話 封印された仏壇」投稿者・福岡県 匿名希望さん

『第十二話 辻に棲む霊』投稿者・未詳(普通の女子高生) 画・松世眞由美 ’91『ハロウィン』9月号 掲載 ※路上の怪

「※印」は各話の簡単な分類。サブタイからは内容がよく分からない話などに適当につけた。投稿者名の敬称については作中の表記通り。



『ほんとにあった怖い話〈17〉読者の恐怖体験談集』
 朝日ソノラマ 1992 ハロウィン少女コミック館
 著者:渡辺杜都 他

 ISBN-13:978-4-2579-8217-3
 ISBN-10:4-2579-8217-9


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『ほんとにあった怖い話〈16〉読者の恐怖体験談集』

ほんとにあった怖い話〈16〉読者の恐怖体験談集』朝日ソノラマ 1992 ハロウィン少女コミック館

「この第15巻は整然としていて非常に完成度が高い」って書いた次の巻にしては……って感じの16巻。長い話と短い話が雑然と入り乱れていて、妙に読み辛かった。複数の体験が含まれる「第二話 憑かれたライダー」のような長めの話と話の隙間を、ほんの数ページの短いエピソード(古い別冊の中から未収録エピソードを収録)がざっくり埋めている。前巻と比べると作画もかなり後退しているように思う。全体に雑な印象。……とはいえ、構成や作画がこの手のコミックスの必要用件ではない。とにかく怖けりゃいいのだ。

 この第16巻の特徴はなんといっても幽霊譚に絞り込んだところである。ちょっと不思議な話や、たまに入ってる異世界譚や、コックリさんの話もない。最初から最後まで幽霊尽くしだ。その辺をウロウロすれば高確率で幽霊に当たる、全国の霊感少女たちが大活躍している。丸傳次郎による「第二話 憑かれたライダー」は、ドッペルゲンガーレベルの幽体離脱をしまくる霊感少女の話。絵柄は人物の判別がつき難い少女マンガタッチで、時系列はやや混乱気味だが、一つ一つのシークエンスはよく練られていて完成度が高い。直接的な描写を抑えて良質な怪談に仕上げている。同じ作画担当者による「第三話 血ぬられた旅館」は、京都の旅館の怪しげな部屋に泊まった投稿者の心霊体験。ごくオーソドックスな旅先の怪談で、寝てる布団の上に座る幽霊なんかが出てくる。このエピソードの投稿者は、孫と一緒に『ハロウィン』を読んでるらしい。おそらくこれまでで最高齢の投稿者だ。

 ほかにも心霊スポット巡りがしっかり定着していること、霊感少女と親しい間柄にある人物(友人、妹)による投稿が多いことなどが特徴として挙げられる。色々気になった事について書いたが、怖いかどうかという点に於いては一定の水準に達している。



『第一話 凍りついた瞬間(とき)』投稿者・東京都 みやさちこさん 画・みの瑞穂 ’91『ほんとにあった怖い話』VOL.16 掲載 ※学校の怪談・自動車の怪談

『憑かれたライダー 他』画・丸傳次郎 ’91『ほんとにあった怖い話』VOL.16、11月号 掲載
 「第二話 憑かれたライダー」投稿者・大阪府 小畑ハルミさん ※霊感少女・心霊スポット・路上の怪
 「第三話 血ぬられた旅館」投稿者・愛知県 羽田みしさん ※旅先の怪談

『第四話 不安の風景』投稿者・高知県 宮崎由紀子さん 画・ひとみ翔 ’91『ほんとにあった怖い話』VOL.16 掲載 ※霊感少女

『奇怪な最終バス』 画・谷ゆたか ’91『ほんとにあった怖い話』VOL.16、11月号 掲載
 「第五話 奇怪な最終バス」投稿者・宮城県 匿名希望さん ※霊感少女・路上の怪
 「第六話 霧ヶ峰幽霊寮」投稿者・千葉県 市原剛さん ※霊感少女・旅先の怪談

『第七話 生まれざる者の叫び』投稿者・北海道 本沢葉子さん(仮名) 画・とりのささみ ’86『ハロウィン』増刊『ハロウィン・ナイト』 掲載 ※病院の怪談

『恐怖!! 校内憑依譚 他』画・魔野幹矢 ’87『ハロウィン』10月号 掲載
 「第八話 恐怖!! 校内憑依譚」投稿者・神奈川県 P.N みすたあ・えっくすさん ※学校の怪談
 「第九話 社員寮の怪!?」投稿者・山形県 酒井小百合さん

『第十話 父の生き霊』投稿者・北海道 本沢葉子さん(仮名) 画・藤方萌葱 ’91『ハロウィン』8月号 掲載

「※印」は各話の簡単な分類。サブタイからは内容がよく分からない話などに適当につけた。投稿者名の敬称については作中の表記通り。



『ほんとにあった怖い話〈16〉読者の恐怖体験談集』
 朝日ソノラマ 1992 ハロウィン少女コミック館
 著者:みの瑞穂 他

 ISBN-13:978-4-2579-8210-4
 ISBN-10:4-2579-8210-1


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『ほんとにあった怖い話〈15〉読者の恐怖体験談集』

ほんとにあった怖い話〈15〉読者の恐怖体験談集』朝日ソノラマ 1992 ハロウィン少女コミック館

 シリーズ初期の頃のように「とっ散らかってるけど楽しかった」前巻とは打って変わって、この第15巻は整然としていて非常に完成度が高い。なかでも浅野まいこによる『踏切の怪 他』(第1話〜第3話)は、シリーズを通じてトップクラスの水準。絵の上手さもさることながら、無理せず盛りすぎることなく、怪異をさくっと表現しているのがいい。踏切に出る下半身だけの亡霊(上半身だけの「テケテケ」に対し、最近ではこの形態のものを「トコトコ」と呼ぶらしい)の一枚絵も、ケレン味のない押さえた表現が印象的だ。同様にキャラクターのリアクションも控えめながら、眉根を寄せる微妙な表情がキャラの不安な心情をよく表していると思う。この浅野まいこって人、本書で初めて知ったんだけど、調べてみたら現在は「ハーレクインコミック」などでコミカライズをされているようだ。たまにはこのジャンルにも戻ってきて欲しい。

 全体の印象としては冒頭に書いた通りなんだけど、この巻には目立った特徴がある。それは整った少女マンガのタッチで統一されていることと、本シリーズとしては珍しく「学校の怪談」ネタが収録されていないところだ。せいぜい通学の行き帰りの話があるくらいで、舞台となるのは病院、会社、自宅。投稿者の年齢もそれなりに上がっているらしく、自分の霊的なセンスにだらだらと耽溺するような展開も見られない。またここ数巻で顕著になってきた、旧来の「肝だめし」とは一線を画する「心霊スポット探訪」も2編(「第六話 廃屋の黒髪」「第七話 幽霊橋恐怖談」)収録されている。これも多くの場合、自動車やバイクを使う必要があることから、中高生のキャラクターでは少々難しいネタだ。やってることは現在の「心霊スポット探訪」とほとんど変わらない。今も昔もって感じ。違いはカメラ類を持ってないことくらいか。

 この第15巻、たまたま見かけた端本をついふらふらっと買ってしまっても、充分に満足出来る一冊だと思う。



『踏切の怪 他』画・浅野まいこ ’91『ハロウィン』増刊『ほんとにあった怖い話』VOL.15、VOL.16 掲載
 「第一話 踏切の怪」
  「踏切の怪〈1〉」投稿者・北海道 匿名希望さん
  「踏切の怪〈2〉」投稿者・栃木県 匿名希望さん
 「第二話 幽霊クリニック」投稿者・広島県 匿名希望さん ※病院の怪談
 「第三話 亡者たちの視線」投稿者・宮城県 匿名希望さん ※霊感OL

『幽霊バスの通る夜 他』画・黒田祐乎 ’91『ハロウィン』増刊『ほんとにあった怖い話』VOL.15、VOL.16 掲載
 「第四話 幽霊バスの通る夜」投稿者・東京都 P・N れいちゃん ※路上の怪
 「第五話 巡り来る影」投稿者・群馬県 匿名希望さん ※病院の怪談

『第六話 廃屋の黒髪』投稿者・東京都 小島孝恵さん 画・時任竹是 ’91『ハロウィン』増刊『ほんとにあった怖い話』VOL.15 掲載 ※心霊スポット

『第七話 幽霊橋恐怖談』投稿者・神奈川県 匿名希望さん 画・松世眞由美 ’91『ハロウィン』2月号 掲載 ※心霊スポット・路上の怪

『夜のいたずら者 他』画・美里和歩 ’91『ハロウィン』5月号 掲載
 「第八話 夜のいたずら者」投稿者・茨城県 匿名希望さん ※ポルターガイスト
 「第九話 お盆の来訪者」投稿者・北海道 石垣ゆかりさん ※金縛り

『殺されたおばあさんの霊 他』画・三浦尚子 ’91『ハロウィン』7月号 掲載
 「第十話 殺されたおばあさんの霊」投稿者・北海道 匿名希望さん
 「第十一話 姿なき訪問者」投稿者・愛知県 田口育子さん ※虫の知らせ

「※印」は各話の簡単な分類。サブタイからは内容がよく分からない話などに適当につけた。投稿者名の敬称については作中の表記通り。



『ほんとにあった怖い話〈15〉読者の恐怖体験談集』
 朝日ソノラマ 1992 ハロウィン少女コミック館
 著者:浅野まいこ 他

 ISBN-13:978-4-2579-8195-4
 ISBN-10:4-2579-8195-4


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『ほんとにあった怖い話〈14〉読者の恐怖体験談集』

ほんとにあった怖い話〈14〉読者の恐怖体験談集』朝日ソノラマ 1991 ハロウィン少女コミック館

 このアンソロジーは1989年の第1巻から1991年の第14巻まで、たった3年というハイペースで刊行されている(全30巻です)。各巻ごとの印象はわりとバラバラなんだけど、たまに既視感が強く感じられる巻がある。初期の頃のように学校の怪談がメインで短い話が多いからか、この第14巻もそんな一冊だった。

 久々に第1巻から通して読んでみると、多少なりとも流行の盛衰が感じられるのが面白かった。その筆頭はもちろん「コックリさん」である。1冊まるまるコックリさん回があるかと思えば、しばらく音沙汰がなくて、やがて忘れた頃に名前を変えて復活する。実に根強い。
 コックリさんの異名は数多く「エンゼルさま」「守護霊さま」「キューピットさま」など様々だか、この第14巻では「星の王子さま」なんて呼ばれている。上記の3例はスピリチュアルな存在ってことで何となく分かるけど、「星の王子さま」は一体どんな理由で採用されたのだろう。「花の王子さま」なんてファンシーな異名もあるし、単におどろおどろしさから遠ざかれば何でも良かったのか。それとも「アマツキツネ」からの転化……なんてことはまず無いか。
 その「星の王子さま」が出てくるのは「第二話 凝視(みつ)める目」で、ここでは降霊アイテムとしてポピュラーなコインと五十音の書かれた紙に代わって、シャーペンと白紙が用いられている。めっちゃお手軽だが、憑依されて無意識に墓場を訪れたり、溶け出した地面から無数の手が現れたりと、生じる怪異はかなり強烈だ。学校を取り巻く地勢に問題があったかも……という解釈も面白い。

「第六話 何かがそこにいる」は木造の旧校舎のトイレ(チェーンで厳重に封じられている)に幽霊が出るという、『ゴーストハント』の「旧校舎怪談」を地で行くようなエピソードだった。先生が話した「いわく」が劇中に組み込まれていて、そこが一番の恐怖ポイントになっている。
 下記のリストの通りこの巻は学校の怪談がメインとなっているが、これまでとは著しく異なる点がある。それはピンチの体験者が自らを守護してくれるモノの存在を明確に意識しているところだ。時に守護者はショートカットの美しい少女や、天使、発光体などの姿で少女たちの前に顕現し、彼女たちを救う。案外コックリさんの異名の数々を生み出した思いは、この何となくファンシーでご都合な守護者を希求する心理と同根だったのかもしれない。



『空白の時間 他』画・山口夏実 ’91『ハロウィン』増刊『ほんとにあった怖い話』VOL.14、VOL.15 掲載
 「第一話 空白の時間 〜私の臨死体験〜」投稿者・北海道 匿名希望さん ※病院の怪談・臨死体験
 「第二話 凝視(みつ)める目」投稿者・滋賀県 中原智子さん ※学校の怪談・コックリさん

『真夜中の奇跡 他』画・みの瑞穂 ’91『ハロウィン』増刊『ほんとにあった怖い話』VOL.14、VOL.15、’91『ハロウィン』3月号 掲載
 「第三話 真夜中の奇跡」投稿者・福岡県 匿名希望さん ※病院の怪談
 「第四話 トンネルの中で……」投稿者・東京都 松竹梅さん ※路上の怪
 「第五話 迷える少女」投稿者・埼玉県 亀山裕代さん ※学校の怪談

『第六話 何かがそこにいる』投稿者・埼玉県 笹田利恵さん(仮名) 画・市川みなみ ’91『ハロウィン』増刊『ほんとにあった怖い話』VOL.14 掲載 ※学校の怪談

『真夜中の影 他』画・ひとみ翔 ’91『ハロウィン』増刊『ほんとにあった怖い話』VOL.14、’91『ハロウィン』1月号 掲載
 「第七話 真夜中の影」投稿者・静岡県 匿名希望さん
 「第八話 亡者の演奏」投稿者・静岡県 福島永子さん ※学校の怪談

『第九話 闇からの歌声』画・谷ゆたか ’91『ハロウィン』増刊『ほんとにあった怖い話』VOL.14 掲載
 「その1 亡霊合唱団」投稿者・大阪府 M・Mさん ※学校の怪談
 「その2 追悼式」投稿者・大阪府 匿名希望さん ※学校の怪談

『迷い出る者たち 他』画・黒田祐乎 ’91『ハロウィン』増刊『ほんとにあった怖い話』VOL.13、VOL.14 掲載
 「第十話 迷い出る者たち」投稿者・兵庫県 匿名希望さん ※蛇
 「第十一話 神隠しの校舎」投稿者・静岡県 杉山明子さん(仮名) ※学校の怪談

「※印」は各話の簡単な分類。サブタイからは内容がよく分からない話などに適当につけた。投稿者名の敬称については作中の表記通り。

 ※参考↓ 美堀真利『コックリさんの不思議』
 http://serpentsea.blog.fc2.com/blog-entry-380.html



『ほんとにあった怖い話〈14〉読者の恐怖体験談集』
 朝日ソノラマ 1991 ハロウィン少女コミック館
 著者:山口夏実

 ISBN-13:978-4-2579-8183-1
 ISBN-10:4-2579-8183-0


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『ほんとにあった怖い話〈13〉読者の恐怖体験談集』

ほんとにあった怖い話〈13〉読者の恐怖体験談集』朝日ソノラマ 1991 ハロウィン少女コミック館

 わりと粒の揃った印象の第13巻。中でも『幻燈の下で 他』は絵の上手さも怪異の表現も群を抜いている。ごった煮的なアンソロジーには、たまにこういう作品が混じっているのでほんと侮れない。「第一話 幻燈の下で」は兵士っぽい幽霊の出る幽霊屋敷と、祖父の死を知らせる光の玉の話。「第二話 踊り場の住人」は学校の怪談の踊り場に出る生徒の幽霊の目撃談。どちらも取り立てて特徴の無い古典的なストーリーだが、作画担当者の手腕によってその魅力が最大限にまで引き上げられている。この作画担当の時任竹是という人、全然知らなかったんだけど「鯛夢」というペンネームで現在もこのジャンルを中心に活躍中。『新耳袋』のコミカライズを買った覚えがあるので、機会があれば読み直して感想書きます。

 その他、目立ったエピソードはというと、「第四話 火の玉が来る夜」が面白かった。『13日の金曜日 完結編』(1984)と『ザ・キープ』(1983)の二本立てを彼氏と見に行った体験者が、すごいスピードの火の玉に追いかけられるという話。体験者と彼氏の他にも、大勢の友人が一緒に火の玉を目撃している。また体験者は以前に心霊スポットを訪れた際、タチの悪い霊に憑依された経験を持つ。初期の頃にはほとんどなかった心霊スポット探訪譚が、この辺からポツポツと出始めている。ところで体験者が見た『ザ・キープ』という作品、残念ながらあまりソフトには恵まれてないけれど、吸血鬼もののファン、それからWWⅡのドイツの軍装、ソフトスキンのファンには凄くオススメ。原作(『城塞』角川文庫、『ザ・キープ』扶桑文庫)も上下巻で読み応えがある。



『幻燈の下で 他』画・時任竹是 ’91『ハロウィン』増刊『ほんとにあった怖い話』VOL.13、VOL.14 掲載
 「第一話 幻燈の下で」投稿者・東京都 匿名希望さん ※幽霊屋敷・虫の知らせ
 「第二話 踊り場の住人」
  「踊り場の住人」投稿者・大阪府 矢野亜岐さん ※学校の怪談
  「踊り場の住人 (2)」投稿者・東京都 松本薫さん ※学校の怪談

『第三話 闇の中の顔』投稿者・静岡県 渡辺ゆかりさん 画・山口夏実 ’91『ハロウィン』増刊『ほんとにあった怖い話』VOL.13 掲載 ※霊感少女(主婦)

『火の玉が来る夜 他』画・丸傳次郎 ’90『ハロウィン』増刊『ほんとにあった怖い話』VOL.12、’90『ハロウィン』10月号 掲載
 「第四話 火の玉が来る夜」投稿者・東京都 太田知佳さん(仮名) ※心霊スポット
 「第五話 しのびよる足音」投稿者・大阪府 山本陽子さん

『第六話 予兆現象』投稿者・大阪府 宮崎マキ子さん 画・谷ゆたか ’90『ハロウィン』増刊『ほんとにあった怖い話』VOL.12 掲載

『義母の気配 他』画・三浦尚子 ’90『ハロウィン』増刊『ほんとにあった怖い話』VOL.11、VOL.13 掲載
 「第七話 義母の気配」投稿者・東京都 川島幸子さん
 「第八話 白猫は死神の使い」投稿者・静岡県 中村咲栄さん ※金縛り・猫
 

「※印」は各話の簡単な分類。サブタイからは内容がよく分からない話などに適当につけた。投稿者名の敬称については作中の表記通り



『ほんとにあった怖い話〈13〉読者の恐怖体験談集』
 朝日ソノラマ 1991 ハロウィン少女コミック館
 著者:時任竹是

 ISBN-13:978-4-2579-8171-8
 ISBN-10:4-2579-8171-7


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