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H・R・ウェイクフィールド『目隠し遊び』



 H・R・ウェイクフィールド(H.R.Wakefield)著, 南條竹則訳『目隠し遊び』("Blind Man's Buff" 由良君美編『イギリス怪談集』河出書房新社 1990 河出文庫 所収)

 先日のブラム・ストーカー『判事の家』(←前の記事へのリンクです)と同じ『イギリス怪談集』より、短いながら非常に印象的な一編。これもまたホーンテッドハウスものだ。短い作品なのでストーリーはシンプルすぎるくらいシンプルで、田舎に大きな屋敷を買った主人公が、引っ越し前の下見に赴いた屋敷の暗闇のなかで、怖ろしい出来事に遭遇する。……ほんとそれだけ。これ以上どうもできないくらいプレーンな作品だが、これが実に怖い。

 まず屋敷に辿り着いた主人公は、夕焼けに佇む建物からなんとも言えない不吉な印象を受ける。すべての窓から睨み付けられているように感じたという。こうしたいわく付き物件との初対面のシーンというと、まずシャーリー・ジャクスンの『たたり』が思い出されるが、この作品の一連の描写も短いながらかなり不気味で、風景の描写としてもいやに美しい。夕暮れの光についてくり返し言及されていて、これから起きる怖ろしい出来事の導入にぴったりだ。

 さて肝心の「怖ろしい出来事」について。ここまでぼやっとしか書いてないのにはわけがあって、なにが起こったのか実はさっぱり分からないのだ。真っ暗な屋敷のなかで出口を見失った主人公が、パニックに陥っていく様子が刻々と綴られているばかりで、怪奇現象が起こっているのかどうかさえはっきりととしない。すごくもやもやするし、後味が悪い。そしてもちろん怖い。とくに暗所、閉所恐怖症の人にとっては、悪夢のような作品だと思う。それから、なにを尋ねられても「日が暮れてからお屋敷に近寄るものはいねえよ」(p.256)とだけくり返す、近隣の住民も不気味。


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