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ブラム・ストーカー『判事の家』



 ブラム・ストーカー(Abraham "Bram" Stoker)著, 由良君美訳『判事の家』("The Judge's House" 由良君美編『イギリス怪談集』河出書房新社 1990 河出文庫 所収)

『吸血鬼ドラキュラ』の著者によるホーンテッドハウスもの。主人公の学生は一人で試験勉強をするためにぶらっと旅に出て、旅先で気に入った屋敷をまるまる借りて暮らしはじめるという贅沢三昧。ごく普通のことのように書いてあるけど、普通じゃないよね。使用人まで雇ってるし、まじで羨ましい。
 この冒頭のくだりは、これより後に書かれたブラックウッドの『いにしえの魔術』(←前の記事へのリンクです)など、海外の作品でたまに見かける導入で、読むたびに旅に出て適当な町でぼやーっと暮したくなる。

 で、主人公が借りた屋敷というのが、例によっていわく付き物件。入居早々、まず地味な「音」の怪異が発生している。この手の物件にはおおまかに三つのパターンがあるように思う。建物や土地そのものに問題があるもの、屋敷や居室が邪悪ななにものかの住処や餌場になってるもの、住人に問題があるもの、という三つ。実際にはこんなにはっきりと分けられないし、ほかの要素も混ざってくるのだけれど、ざっくりこんな感じ。この作品の舞台となっている屋敷は、直球で二番めの「屋敷や居室が邪悪ななにものかの住処や餌場になってるもの」で、その「邪悪ななにものか」というのが本作ではでっかいネズミだったりする(←もちろんタダのネズミではない)。このネズミと主人公のバトルが作品のクライマックスになっている。それまで怪異に強い耐性を見せていた主人公だけに、オチの悲惨さは予想外だった。

 作品の発表は1891年、先日のブルワー・リットンの『幽霊屋敷』(←前の記事へのリンクです)から三十年以上経っている。だからなのか翻訳のおかげか、随分と現代的で読みやすい作品だった。ところでものすごくふわっとした話になってしまうが、この古い屋敷に巣食うでかくて邪悪なネズミの話、以前なにかのアニメで見たことがある。絵面まで覚えてるのに、なんてアニメだったか思い出せない。検索しても見つからなくてモヤモヤする。思ってる以上に古い作品なのかもしれない。あれって、この作品へのオマージュだったのかな。

 この作品が載ってる『イギリス怪談集』には、ほかにも幽霊屋敷の話がいくつか収録されている。買った当時、先日の『怪奇小説傑作集』と重複が少なくて嬉しかった覚えがある。全十九編収録で、読み応えあり。


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