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福満しげゆき『就職難!! ゾンビ取りガール〈2〉』

 

 福満しげゆき『就職難!! ゾンビ取りガール〈2〉』講談社 2014 モーニングKC

 カゼひいて三日ほどぼーっとしてしまった。熱はそこそこだけど、能動的なことに全然集中出来ないので、録り溜めてたアニメと映画を見ることにした。アニメはこの夏のアニメ、映画は手持ちのホラーを何本か見た。そのうちゾンビ映画は『悪魔の墓場』(1974)『ゾンビ・ストリッパーズ』(2008)『死霊ゾンビ伝説 ヘルデモンズ』(1989)の三本。ディスク買ってるくらいだからどれも好きな映画ばっかりで、何度も見てるからぼーっと見るにはもってこいだった。「ヘルデモンズ」はほかの二本と比べると少々マイナーだけど、メキシコ人監督によるメキシコ色豊かなゾンビ映画。人身売買された少女が生贄になるところからはじまって、非CGのグロ描写が炸裂するなかなか見応えのある作品だ。あとの二本に関しては今さら言うまでもないが、どちらもヘビーローテーションに耐える名作。アニメは「ろこどる」『プリズマ☆イリヤ ツヴァイ!』『さばけぶっ!』がよかったです。

 で、ゾンビといえば、個人的に今一番続巻が待ち遠しいゾンビ漫画『就職難!! ゾンビ取りガール』の最新巻が発売された。前巻から結構間が開いた気もするが、さらにおもしろくなっているので待っててよかった。基本設定は前巻(←前の記事へのリンクです)の感想で書いた通りなんだけど、「ゾンビ取りガール」として覚醒した「後輩ちゃん」の強いこと強いこと。ゾンビ捕獲メカの設計と新人の指導を担当する「先輩くん」の予想を遥かに上回る成長ぶりで、すっかり「セイが作ってレイジが戦う」の『ガンダム ビルドファイターズ』みたいになってる。
 また戦闘能力もさることながら、後輩ちゃんのかわいさもグレードアップしている。この作品ではキャラ(後輩ちゃん)の心の声がつぶさに書き込まれているので、通常のセリフとのギャップがおもしろいし、なんかこう、ムズムズするようなかわいさと、イカレ具合を堪能することができる。とくにファミレスのシーンはかわいかった。ドーナツ食べてるところとか。

 さて肝心のゾンビはというと、前巻のロメロゾンビっぽいゾンビとは打って変わって、人間離れしたパワーとスピードを兼ね備えた「最強のゾンビ」が登場する。なにかとイレギュラーなこのゾンビとのバトルが、後半の最大の見せ場となってる。著者は前巻と同様の超長い「あとがき」のなかで「強さのインフレ」について触れているが、単体のゾンビの強さの上限をこの「最強のゾンビ」に設定するとなると、今後後輩ちゃんの期待に応え、ついでに話を盛り上げるためには、ゾンビの数を増やすか、これまで以上にヤバい状況を設定するしかなさそう。大変だ。

 あと本編とは全く関係ないのだが、超長い「あとがき」のなかには、著者の生活の窮乏を訴えるような記述がちらほらと見受けられる。まあネタだろうけど……と思いつつも、続刊を心待ちにしてたファンの一人として誰かに薦めてみようと考えてみた。しかしゾンビ漫画をすすめられるような友人には全く心当たりがない。一応妹には軽くおすすめしてみたものの、「帰って来るときに持ってきたら読む」とのこと。……残念ながら著者の期待に沿うことはできなそうだ。


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福満しげゆき『就職難!! ゾンビ取りガール〈1〉』

 

 福満しげゆき『就職難!! ゾンビ取りガール〈1〉』講談社 2013 モーニングKC

 工業高校出身の著者による最高峰のゾンビ漫画。カテゴライズするなら、日常系恋愛ゾンビ漫画って感じ。絵柄からギャグ漫画なのかと思いきや、全然違っていた。

 主人公は零細ゾンビ回収業者「ゾンビバスターズ」に勤務する冴えない青年。最近彼の勤務先にバイトの女の子が入ってきた。いかにも女子向きでない業種だが、就職難のご時世ならではの僥倖だ。しかもかなりかわいい。彼女を辞めさせるわけにはいかない。そんなわけで主人公の「先輩」は、快適で安全な職場をアピールすべく彼女になにくれとなく気を回すのだが、腐乱した死体をリアカーで運びながらである。全然説得力がない。ところがそんな「先輩」をよそに、現場経験を重ねる「後輩ちゃん」は、ゾンビの捕獲にスリリングな悦びを覚えはじめていた。

 これまでに描かれた数多くのゾンビ漫画のなかで、ゾンビのキャラクターは作劇の都合や著者の好みによって、様々にカスタマイズされてきた。いちいち例はあげないが、その自由奔放さは古今東西の映画に登場するカスタムゾンビ以上だと思う。この作品に登場するゾンビは、著者のゾンビ中毒を反映して、嬉しいことに実にオーソドックスな「ロメロ型」ゾンビとして描かれている。異なっているのは完全に腐敗するか燃やされでもしない限り、頭を吹き飛ばされても死なないところ、それと絶対数。

 著者の超長い「あとがき」によると、この作品でのゾンビとのエンカウント率は、だいたい「工業高校で丸一日過ごして、女の生徒を見かける頻度」、「1日で1人〜2人見かけるか、もしくはまったく見かけないか」と設定されてるらしく、そのおかげで「日常」が見事にキープされている。もちろんそれなりの仕事に従事する主人公たちは高頻度でゾンビに接触するが、あくまでも仕事の都合で……というノリで、決して日常の枠からははみ出さない。素晴らしいバランス感覚だ。主人公にとってはゾンビの存在よりも、職場のかわいい「後輩ちゃん」の方がよっぽど非日常的らしい。
 この「後輩ちゃん」、主人公の言葉を借りると「わりとキリッとした美人、清潔感アリ」。ちょっとぼーっとした感じの子で、あとお尻とおっぱいがでっかい。そんな彼女が家に帰ると姉にいじらたり、ゾンビの捕獲にわくわくしてたりするのが実にいい。すごく特徴的で癖のある絵柄なんだけど、著者のこだわりの賜物、作業着姿の「後輩ちゃん」は強烈にかわいく見える。

 超長い「あとがき」のなかで、著者は『バタリアン』(1985)を推している(それと「バイオハザード・シリーズ」(2002〜)。その元ネタ『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(1968)にはさらっと触れている程度だが、作品には終始『ナイト・オブ・〜』の冒頭の墓地のシーン(なんてことのない風景のなかにポツンと黒い人影が見える)を彷彿とさせる、微妙な不安感と違和感が漂っていて、それが基調低音となっている。とくにゾンビファンにおすすめ。


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