いけ『ねこむすめ道草日記〈17〉』

 

 いけ『ねこむすめ道草日記〈17〉』徳間書店 2018 リュウコミックス

 今年も「ねこむすめ」の新刊が出た。第1巻が出てから今年で10年目、そしてこの巻でついに第100話を迎えた。めでたい! 本の中で直接触れられてはないが、ずいぶん前に目指せ100話! とか言ってた著者もきっと嬉しかったことと思う。

 そんなわけで、今回は発売前からめでたい感じの感想を書こうと思ってたんだけど、好事魔多しとはよく言ったもので、このめでたい裏側ではめでたいとは真逆の事態が進行していた。この作品が掲載されている『月刊COMICリュウ』が、現在発売中の8月号をもって休刊するらしいのだ。雑誌のオフィシャルページには「紙の雑誌を【卒業】して【WEBへ移行】します。」とでっかく入った最新号の表紙が掲載されている。以前にも休刊したことのある雑誌だが、今回は連載作品の受け皿まで用意されていることから、今後紙媒体としての復活はまず無いだろう。休刊の理由は明記されてないが、最大の要因は「売り上げ」だと思われる。
 自分はマンガ雑誌を購読する習慣がないので実感がないのだけれど、この雑誌に限らず雑誌全体の売り上げは昨今相当厳しいらしい。売り上げの推移を見てみると(調べてみました)、マンガ雑誌は2000年以降ずーっと低迷を続けている。その原因として様々な推測がなされているが、やはりトドメっぽく登場したスマートフォンの影響は大きいようだ。かつては娯楽の王様だった劇場映画が、TVの普及に伴って凋落していったような感じか。栄枯盛衰だ。

 さて、肝心の第17巻の中身はというと、最初から最後までお祭り。お祭りの描写がメインで、その隙間に愛らしい妖怪たちがうろちょろする様を描いている。ストーリーらしいストーリーはいつも以上に希薄だ。
「第100話 お盆の夜を見回りで道草」から「第102話 カラスとねずみで回る山車祭りで道草」までは、毎年夏に催される「山車祭り」(元ネタは群馬県の「渋川山車まつり」)が、「第103話 オタクの祭典で道草」から「第105話 鬼女子の打ち上げで道草」は、お台場の「マンガマーケット」略して「マンケ」が舞台となっている。そしてそれぞれのお祭りに参加していたキャラたちが、「第106話 祭りの後の夜道で道草」で一堂に会するという考えられた構成。「マンケ」の話の方は今更コミケネタもなぁ、などと思いながら読み始めたのだが、はっちゃけたキャラに寄ってる分、こっちの方が面白かった。またメインの祭りの話よりも、同じようにドタバタしつつもそこはかとない寂しさが漂う「祭りの後」の話の方が、著者の作風にあっているのか、雰囲気がよく出ているように思う。

 雑誌自体は休刊してしまうが、幸いにもこの作品はwebに移行してこの先も続く。 ブチっと終わらなくて本当に良かった。次巻は「話も作画もまったりほのぼの進行」とのこと。



『ねこむすめ道草日記〈17〉』
 徳間書店 2018 リュウコミックス
 著者:いけ

 ISBN-13:978-4-1995-0629-1
 ISBN-10:4-1995-0629-2


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いけ『ねこむすめ道草日記〈16〉』

 

 いけ『ねこむすめ道草日記〈16〉』徳間書店 2017 リュウコミックス

 予想以上の速さで第16巻が出た。リュウコミックスではこの「ねこむすめ」と、今TVでやってる(けどまだ見れてない)『セントールの悩み』を買ってるんだけど、両作ともにいいペースで刊行されてるのが喜ばしい。今回は第93話〜第99話+おまけを収録。前巻は初の一冊丸々続き物で、派手なバトルあり過去話ありと変化に富んだ一冊だったが、今回はいつも通りに戻って、まったりとしたエピソードが並んでいる。

 女郎蜘蛛の地域貢献が描かれる「第93話 紫陽花の花落としで道草」と「第94話 獅子丸と一緒の道草」は、とりわけ「いつも通り」な感じの強いエピソードで、まじで何も起こらない。「黒菜」と「獅子丸」がひたすらじゃれてるだけだったりする(94話)。それが「ねこむすめ」らしくて良かった。
「第95話」〜「第97話」は「千夏ちゃん」のメイン回。学校の怪談の「ミラーさん」(←トイレの鏡)こと「雲外鏡」が千夏ちゃんに変化して、彼女が内に秘めた思いを曝け出すべく暴走する。あとがきマンガを見るに著者(とカッパ)はどうやら千夏ちゃん一押しの様子。焦ったりヤキモキしたりするリアル千夏ちゃんも、黒菜っぽいおてんばなコピー千夏ちゃんも、とても可愛らしく描かれている。ただし千夏ちゃんメイン回にも関わらず、コックリさん分は少なめ。合体千夏ちゃんの出番の方が多い。
「第98話」は混浴温泉に潜むワニと雪女の「伊吹」の話で、幼い初恋エピソードの次がこれかよって感じのバカ話。温泉だけに肌色が多い。「第99話」は黒菜が「藤森商店」の飼い猫になる経緯を描いたプリクエル。前巻の黒菜の特訓話に続くストーリで、本作屈指の地味キャラ「鉄瓶の付喪神」が活躍する。99話目にふさわしいエピソードだと思う。

 そんなわけでこの第16巻は、ここまで本作を読んできた読者には楽しめる一冊になっている。次の第17巻にはいよいよ「第100話」が収録される。楽しみ!



『ねこむすめ道草日記〈16〉』
 徳間書店 2017 リュウコミックス
 著者:いけ

 ISBN-13:978-4-1995-0581-2
 ISBN-10:4-1995-0581-4


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いけ『ねこむすめ道草日記〈15〉』

 

 いけ『ねこむすめ道草日記〈15〉』徳間書店 2017 リュウコミックス

 今年も無事に『ねこむすめ道草日記』の新刊が出た。しかもまだわりと早い時期なので、めっちゃ上手く行けば年末にもう一冊読むことができるかもしれない。今回は第87話~第92話+おまけを収録。前巻には4話連続、計100ページの長編が収録されていて、続き物として過去最長だったのだが、この15巻ではそれを楽々と上回ってしまった。1巻丸々続き物である。人間側に新キャラが投入され、帯に「【ねこむすめ】史上最大のアクションが展開される!!!」とある通りの長いバトルもある。

 いつものコンビニに出現する化けガエル(ガマ子)。とにかく変化が下手くそなので、現地ではすっかり「蛙人間」として噂になってしまっている。それをどうにかしようとする妖怪と人間たち。「黒菜」たち妖怪が「化け学教室」にガマ子を入門させて猛特訓に励んでいた丁度その頃、コンビニの近くの川べりでは噂を聞きつけてやってきたJK式神使い「九条小夜子」と、蛙人間に間違われた「カッパ」との壮絶なバトルが始まろうとしていた。……というのが大まかなストーリー。

 正直1話目(第87話)を読んだ時点ではそれほどでもなかったのだが、後の方に行くほど尻上がりに面白くなった。通常のまったりドタバタしたノリも維持されているし、妖怪側と人間側がそれぞれしっかり描かれているのも良かった。後半は今回微妙なフラグを立てたカッパと新キャラによる高架下のバトルが中心となるが、カッパといえば、九州にはカッパのルーツを川に流された「人形」(式神みたいな感じ)とする説がある。それを踏まえた上での式神バトルだろうか。カッパが適度にふざけているので、バトルが殺伐としてなくてほどよかった。ナイスカッパ。
 この「ねこむすめ~」に関しては、長らく続き物には乗れないなーと感じていたんだけど、それも過去の話。そのイメージは前巻で大いに払拭され、この15巻はさらに楽しく読むことができた。あと「ちーちゃん」と一緒に出てきた見習い神使の「朱音」が可愛かった。



『ねこむすめ道草日記〈15〉』
 徳間書店 2017 リュウコミックス
 著者:いけ

 ISBN-13:978-4-1995-0553-9
 ISBN-10:4-1995-0553-9


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いけ『ねこむすめ道草日記〈14〉』

 

 いけ『ねこむすめ道草日記〈14〉』徳間書店 2016 リュウコミックス

 ここ数巻、年に一冊のペースで刊行されてる『ねこむすめ道草日記』の新刊が出た。今回は第80話〜第86話+おまけを収録。相変わらずのまったり進行だが、今回少し変わってるのは4話連続、計100ページの長編が収録されていること。巻末のおまけでも言及されているが、続き物としてはこれまでで最長だ。ストーリーは「黒菜」が拾った子猫を里親の元に送り出すまでを描いたシンプルなものだが、途中黒菜の過去話が挿入されてたりして奥行きのある作品となっている。実は黒菜も元々捨て猫だったのだ。また後半ではネコ勢力の拡大を阻止するために暗躍する「化け鼠」を登場させて変化をつけている。これまでにも数話続きの話はあったのだが、どうも普段とノリが違いすぎていて印象がよくなかった。それが今回の4話は普段のノリを維持したまま、読者を飽きさせないような工夫がされている。黒菜が自分の捨て猫としての過去をあまり悲劇的に捉えてなかったり、子猫たちのと別れも結構あっさりとしていて、ウェットになってないのも良かった。「コックリさん」が全然出てこなかったのは寂しいが、「女郎蜘蛛」株は爆上げ。

 メインの4話の他の3話では、いつにも増して何もない妖怪の日常が描かれているが、面白かったのは「第81話 読者の顔が知りたくて道草」。『ねこむすめよりみち日記』なる妖怪マンガの著者が、作品の掲載されている雑誌の読者を一目見ようと本屋をうろつく話だ。「そもそも描いてる自分自身でも、自分の漫画の読者層をよくわかっていない」とか「そもそも世間的には面白いと思われているんだろうか…」(p.33) なんて言ってるのが面白い。著者の思いがだだ漏れだ。この『ねこむすめ道草日記』が載ってるのは『月刊COMICリュウ』って雑誌で、「ねこむすめ〜」の他にもずっと買ってる『セントールの悩み』や『モンスター娘のいる日常』など、ややマイナーな趣味の作品が掲載されている。考えてみれば同じ雑誌に載ってる複数の作品のコミックを買うのって初めてかもしれない。それなのに実はまだ一度も店頭で『月刊COMICリュウ』を見たことがない(なので以前雑誌が休刊になった時も知らなかった)。もしかしてうちの近所の本屋には置いてないか、もしかしてもしかするとあっという間に売れちゃってるのかもしれない。近所に川がないからカッパが買ってるってことはなさそうだけど。



『ねこむすめ道草日記〈14〉』
 徳間書店 2016 リュウコミックス
 著者:いけ

 ISBN-13:978-4-1995-0509-6
 ISBN-10:4-1995-0509-1


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いけ『ねこむすめ道草日記〈13〉』

 
 いけ『ねこむすめ道草日記〈13〉』徳間書店 2015 リュウコミックス

 超久々な気がする最新13巻が出た。あとがきマンガのなかで著者は「妖怪と人間の関わりを強めに話を作ったゲコ」(p.160)と、この13巻のコンセプトっぽいことを語っていて、その通り妖怪オンリーの話はゼロ、収録された6編はすべて妖怪と人間の関わりを中心に描いている。これまでとは違う雰囲気というより、特徴の一つが強化された感じ。相変わらずのほのぼのぶりだが、新キャラよりも従来のキャラの掘り下げが優先されている。

 この巻には「第74話」から「第79話」までの6話と、いつも通りの各1ページのおまけ5編&あとがきが収録されている。前述の著者の狙いがとくに顕著なのは「第74話 露天風呂…雪と紅葉で道草」と「第78話 小さい頃の叶ちゃんと一緒に道草」の2話。ともにドタバタ控えめで情感たっぷりの作品だった。
「第74話」は全国の温泉巡りをしてる雪女の「伊吹」が、旅先で知り合った親子と露天風呂に入る話。混浴ってことで微エロい話かと思いきや、予想外にしんみり。伊吹のハーフ設定が活きている。「第79話」は渋垣八幡の娘「叶」と狛犬姉弟の出会いを描いた過去話。狛犬姉弟は主に狛犬形態での登場だが、二匹? のファンにとっては嬉しい一編。それにしても姉弟は、なんであんなことになってしまってたのだろう。この先、その辺りも描かれるのだろうか。あんまり鬱展開にならないといいな。

 あと「第74話」の終わりが、そのまま「第75話」の冒頭と繋がってるのも目新しくてよかった。妖怪のいる日常ものとして安定感抜群。カバーの下にもマンガが載ってます。


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いけ『ねこむすめ道草日記〈12〉』

 

 いけ『ねこむすめ道草日記〈12〉』徳間書店 2014 リュウコミックス

 久しぶりに『ねこむすめ道草日記』の新刊が出た。リュウコミックスでは他に同じく新刊が出た村山慶の『セントールの悩み』を買ってるんだけど、店頭に2冊並んで平積みになっていて、強烈なほっこりオーラを放っていた。どっちの本も表紙の絵柄をジャマしない帯のデザインが嬉しい。

 この12巻では前巻で番外編っぽいエピソードに登場したエロ(?)妖怪の「川姫」が本格的に参入、表紙をはじめ「第71話 河童が川姫を連れて道草」と「第73話 川姫が海に来たりて道草」に登場して、後半のヒロインみたいになってる。前巻では性格設定がまだはっきり分からなかったのだが、純情だけど妖怪としての特性から人にエロいモーションをかけなければならない、という非常に気の毒な(美味しい)キャラのようだ。川姫は大分、高知などに伝わる女性型の水妖で、男性を誘惑しその精気を吸い取るといわれている。嫉妬深いことで有名な「橋姫」や、『今昔物語集』の「橋の女」(←前の記事へのリンクです)の類縁、同様にルーツに水神を頂く妖怪だろうと思う。

 また川姫という強力な新キャラの登場にも関わらず、レギュラーの面々も大活躍している。狛犬姉弟は相変わらずかわいらしいし、見せ場も多い。「第68話 独楽からの贈り物で道草」は独楽が黒菜にプレゼントする話。衣装も表情も色々で入浴シーンまである。そして一押しキャラの「コックリさん」と、霊感小学生千夏の関係は新たなステージへ。

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 あと前巻の感想(←前の記事へのリンクです)にちょっと書いた群馬県の郷土かるた「上毛かるた」↑をゲットしました。といっても伊香保まで出かけたわけではなくて、ズルして近県在住の知人に送ってもらいました。群馬県の文房具店で長らく売れずにいたのを入手したのだとか。今風ではない味わい深い絵柄で、機会があれば感想書こうと思います。こういうの見てると旅行に行きたくなってくる。


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