池谷仙克『怪獣幻図鑑 池谷仙克画集』
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池谷仙克『怪獣幻図鑑 池谷仙克画集』東宝株式会社出版事業室 1990
数々の作品を手がける映像美術の第一人者のデザイン画集。怪奇系の作品では京極夏彦原作の『姑獲鳥の夏』(2005)『魍魎の匣』(2007)における仕事が記憶に新しい。最近ではCS局のおかげで、ほとんど毎月のように、著者が携わった作品を見ることができる。先月に続いて今月も『帝都物語』(1988)や『台風クラブ』(1985)をやってるし、来月はATGの『星空のマリオネット』(1978)が予定されている。
本書には『ウルトラマン』をはじめとする特撮TVドラマの「怪獣」のデザイン画を中心に、1966年から1990年にかけて描かれた多数のデザイン画と、数点のイラストが収録されている。
収録作品は『ウルトラマン』『ウルトラセブン』『怪奇大作戦』『帰ってきたウルトラマン』『シルバー仮面』『アイアンキング』『ファイヤーマン』『ウルトラQザ・ムービー 〜星の伝説〜』(1990)『怪獣大奮戦・ダイゴロウ対ゴリアス』(1972)『帝都物語』『陽炎座』(1981)『曼陀羅』(1971)『あさき夢みし』(1974)『さらば箱舟』(1984)『海潮音』(1980)『悪徳の栄え』(1988)『歌麿・夢と知りせば』(1976)『波の盆』(1983)『三日月情話』『蜜月』(1984)『華麗なる一族』(1974)『夢二』(1991)と、CM関連のデザイン画。題字は著者の盟友、映画監督の実相寺昭雄。「池谷仙克・讚」という文も寄せている。
※画像が多くなったので収納しました、続きは下の「続きを読む」より。画像はクリックすると大きくなります。本が斜めになっているのは、収めやすさもさることながら照明の都合です。見辛くて申し訳ない。
『ウルトラセブン』に登場した宇宙人「ガッツ星人」。宇宙人業界屈指の美しいデザインだと思う。着ぐるみは後頭部の青い部分にピーコック風の模様が描かれ、各部の黒い所には部分的にラメ? がキラキラしていて、これまた非常にスタイリッシュだった。そこはかとなく女性的な雰囲気。
赤いのが『ウルトラセブン』の最終話に出てきた怪獣「パンドン」。双頭の鳥+火焔のイメージ。炎のような体表と体色がめっちゃ強そうに見える。さすがに最終話の怪獣だ。残念なことに着ぐるみは、このデザイン画とかなり異なった造形となっていた。この時期、鳥をモチーフにしたデザインが多く描かれているようだ。
モノクロの2枚も『ウルトラセブン』の「フック星人」。頭部だけがデザインされている。著者によるとコウモリをイメージしているとのことだが、これだけ見ても何となく属性というか、習性を想像させる秀逸なデザインだと思う。
『帰ってきたウルトラマン』に登場した4体。上段右から「サドラ」「モグネズドン」下段「ゴルバゴス」「ザザン」。控えめながら美しい彩色と、体表の質感のバリエーションの豊富さが目を引く。どれも2本足で立って歩くタイプのデザインだが、印象は全く異なっている。
『ウルトラQザ・ムービー ~星の伝説~』(1990)の「ナギラ(薙羅)」。スタンダードな体形の怪獣。劇中の設定に則して和風テイストを感じさせるデザインとなっている。着ぐるみはデザイン画と比べて細身に造形されていたが、これはこれで……と思わせるかっこ良さだった。全身真っ黒な怪獣というのも結構珍しいように思う。下の2体は「ナギラ」のNGデザイン。左側のぽっちゃりした方の体表は縄文風の紋様で覆われている。
『シルバー仮面』に登場した宇宙人。赤いのが「ゴルゴン星人」青が「キマイラ星人」、やっぱりヒューマノイドはかっこいい。多様なプロポーションを持った怪獣も素晴らしいけれど、ヒューマノイド縛りで凝らされる工夫にはまた別の楽しさがある。『シルバー仮面』は数年前にCSで放映されていて、再放送のたびに見てたから結構なじみ深い。面白い作品でした。
『帝都物語』(1988)の「式神」たち。日本古来の鬼のイメージだ。劇中では主にストップモーションで表現されていた。これに限らず著者のデザインからは「和」の美意識が強く感じられる。『帝都物語』からはほかにも「将門の首塚」「腹中虫」などのデザインが収録されている。
最近CSで放映されていた『曼陀羅』(1971)の海辺のホテルのデザイン。寒色と暖色の使い分けが美しい。あちこち斜めで見ていると不安になってくるような構造で、それが劇中でもよく再現されていた。
「部屋」というタイトルの付けられたイラスト。ボールペンだけで仕上げられている。これも著者独特の配色が美しい。
巻末にはインタビューの他、「自作を語る」として、収録された全てのデザイン画、イラストに対する著者のコメントが収録されている。怪獣にはあまり詳しくないので、マト外れなことを書いてるかも知れないです。ご容赦を。
数々の作品を手がける映像美術の第一人者のデザイン画集。怪奇系の作品では京極夏彦原作の『姑獲鳥の夏』(2005)『魍魎の匣』(2007)における仕事が記憶に新しい。最近ではCS局のおかげで、ほとんど毎月のように、著者が携わった作品を見ることができる。先月に続いて今月も『帝都物語』(1988)や『台風クラブ』(1985)をやってるし、来月はATGの『星空のマリオネット』(1978)が予定されている。
本書には『ウルトラマン』をはじめとする特撮TVドラマの「怪獣」のデザイン画を中心に、1966年から1990年にかけて描かれた多数のデザイン画と、数点のイラストが収録されている。
収録作品は『ウルトラマン』『ウルトラセブン』『怪奇大作戦』『帰ってきたウルトラマン』『シルバー仮面』『アイアンキング』『ファイヤーマン』『ウルトラQザ・ムービー 〜星の伝説〜』(1990)『怪獣大奮戦・ダイゴロウ対ゴリアス』(1972)『帝都物語』『陽炎座』(1981)『曼陀羅』(1971)『あさき夢みし』(1974)『さらば箱舟』(1984)『海潮音』(1980)『悪徳の栄え』(1988)『歌麿・夢と知りせば』(1976)『波の盆』(1983)『三日月情話』『蜜月』(1984)『華麗なる一族』(1974)『夢二』(1991)と、CM関連のデザイン画。題字は著者の盟友、映画監督の実相寺昭雄。「池谷仙克・讚」という文も寄せている。
※画像が多くなったので収納しました、続きは下の「続きを読む」より。画像はクリックすると大きくなります。本が斜めになっているのは、収めやすさもさることながら照明の都合です。見辛くて申し訳ない。
『ウルトラセブン』に登場した宇宙人「ガッツ星人」。宇宙人業界屈指の美しいデザインだと思う。着ぐるみは後頭部の青い部分にピーコック風の模様が描かれ、各部の黒い所には部分的にラメ? がキラキラしていて、これまた非常にスタイリッシュだった。そこはかとなく女性的な雰囲気。
赤いのが『ウルトラセブン』の最終話に出てきた怪獣「パンドン」。双頭の鳥+火焔のイメージ。炎のような体表と体色がめっちゃ強そうに見える。さすがに最終話の怪獣だ。残念なことに着ぐるみは、このデザイン画とかなり異なった造形となっていた。この時期、鳥をモチーフにしたデザインが多く描かれているようだ。
モノクロの2枚も『ウルトラセブン』の「フック星人」。頭部だけがデザインされている。著者によるとコウモリをイメージしているとのことだが、これだけ見ても何となく属性というか、習性を想像させる秀逸なデザインだと思う。
『帰ってきたウルトラマン』に登場した4体。上段右から「サドラ」「モグネズドン」下段「ゴルバゴス」「ザザン」。控えめながら美しい彩色と、体表の質感のバリエーションの豊富さが目を引く。どれも2本足で立って歩くタイプのデザインだが、印象は全く異なっている。
『ウルトラQザ・ムービー ~星の伝説~』(1990)の「ナギラ(薙羅)」。スタンダードな体形の怪獣。劇中の設定に則して和風テイストを感じさせるデザインとなっている。着ぐるみはデザイン画と比べて細身に造形されていたが、これはこれで……と思わせるかっこ良さだった。全身真っ黒な怪獣というのも結構珍しいように思う。下の2体は「ナギラ」のNGデザイン。左側のぽっちゃりした方の体表は縄文風の紋様で覆われている。
『シルバー仮面』に登場した宇宙人。赤いのが「ゴルゴン星人」青が「キマイラ星人」、やっぱりヒューマノイドはかっこいい。多様なプロポーションを持った怪獣も素晴らしいけれど、ヒューマノイド縛りで凝らされる工夫にはまた別の楽しさがある。『シルバー仮面』は数年前にCSで放映されていて、再放送のたびに見てたから結構なじみ深い。面白い作品でした。
『帝都物語』(1988)の「式神」たち。日本古来の鬼のイメージだ。劇中では主にストップモーションで表現されていた。これに限らず著者のデザインからは「和」の美意識が強く感じられる。『帝都物語』からはほかにも「将門の首塚」「腹中虫」などのデザインが収録されている。
最近CSで放映されていた『曼陀羅』(1971)の海辺のホテルのデザイン。寒色と暖色の使い分けが美しい。あちこち斜めで見ていると不安になってくるような構造で、それが劇中でもよく再現されていた。
「部屋」というタイトルの付けられたイラスト。ボールペンだけで仕上げられている。これも著者独特の配色が美しい。
巻末にはインタビューの他、「自作を語る」として、収録された全てのデザイン画、イラストに対する著者のコメントが収録されている。怪獣にはあまり詳しくないので、マト外れなことを書いてるかも知れないです。ご容赦を。
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