読書メモ(怪奇系多め/ネタバレあり)

感想文、雑記。ネタバレあります。

山口敏太郎『恐怖・呪い面 ~実話都市伝説』

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 山口敏太郎『恐怖・呪い面 ~実話都市伝説』TOブックス(ティー・オーエンタテインメント) 2013 TO文庫

 前に感想を書いた『恐怖・呪い姫 ~実話狂気怪談』(←前の記事へのリンクです)が予想外に面白かったのと、移動中に気軽に読めそうってことで読みはじめた。超気合の入った前書きには、読者は「実話と称する創作怪談とは違う “真の怪異証言が” あることを知るだろう」(p.3)なんて書いてある。
 内容は著者の生い立ちから現在に至るまでの自伝的なエピソードが全31話。だいたい時系列に沿って収録されている。もちろん怪異絡みの話ばかりなのだが、都市伝説って感じでもない。怖いというより不思議な話が多く、ノスタルジックな印象。その傾向は幼少時ほど強く、成長に伴って前述の「呪い姫」にあるような生臭く、狂的な話が増えていく。またいくつかのエピソードには目撃現場の写真が附載されていて、実話っぽさをより強めている。

 ファンタジー色強めの幼少時のエピソードの中にも、「昭和50年代初頭」のように強烈な怨霊にまつわる話がある。著者が友達とともに目撃し、長らく憑かれることになった女の霊の話である。彼女は焼身自殺を図ったらしく、怖いもの見たさでその現場を訪れた著者たちにとり憑き、その家族にまで障りを及ぼした。火事と女の霊の赤い服、やっぱ赤い怪異は火の気を呼ぶのだろうか。
 四国時代の著者はクラスメイトや兄弟とともに様々な怪異に遭遇する。銀色の巨人だったり、手首だったり、怪しい飛行物体だったり。幼少時のエピソードの多くは複数人での目撃談である。四国を離れて以降は著者の判断によってはじめて怪異となるような、主観的なエピソードが目につく。その要因としては四国から首都圏へという環境の変化もあるだろうし、著者の成長によるものも大きいかと思う。

 四国時代のエピソード「見えない、見えない」は、校庭で同級生たちと一緒に謎の飛行物体を目撃する話である。クラスの男子全員がその物体を見たのだが、担任の先生にはそれがどうしても見えなかったという。このエピソードの終わりに著者はこう記している。「大人には見えないものがある。その日私が理解した“社会の仕組み”」であった」(p.60)。
 幼少時を思い出してみても、自分にはあの頃にしか見えなかったものがあったかどうか、さっぱり分からない。忘れてしまってるのかもしれないし、もともと何もなかったような気が大いにする。きっとそういう超常的な感性を持ち合わせてないのだろう。
 忘れてしまってるといえば、自分は子供の頃、その辺に落ちてる鳥類の羽根を拾ってきてはコソコソと収集していたことがある。多くはカラスの羽根で、たまにサギやその他の鳥のグレーの羽根があった。かなり溜め込んだところで、気味悪がった母に捨てられてしまったのだが、なぜアレを夢中になって集めていたのかさっぱり分からない。小引出しにぎっしりの鳥の羽根の、どこに魅力を感じていたのだろうか。




『恐怖・呪い面 ~実話都市伝説』
 TOブックス(ティー・オーエンタテインメント) 2013 TO文庫
 著者:山口敏太郎

 ISBN-13:978-4-8647-2127-1
 ISBN-10:4-8647-2127-0

MODEL Art (モデルアート) 2019年 02月号 No.1006

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 MODEL Art (モデルアート) 2019年 02月号 No.1006

 タミヤの1/35ミリタリーミニチュアシリーズが今年の9月で50周年を迎えたってことで、今年最後のMAの特集は「タミヤ1/35 MMシリーズを楽しむ」。50周年記念の第一弾は今回表紙にもなってる「M551 シェリダン」(2019年1月発売予定)で、シリーズNO.365となっている。1968年に出たMM最初のキットは「ドイツ戦車兵セット」とのことだが、自分が初めてこのシリーズを認識したのは親戚の兄ちゃんが作っていた88で、その超精密な出来栄えに驚いたのと、オマケのバイクをもらって作ったことを覚えている。今うちのキットのストックは七割方は飛行機で、後の三割にカーモデルや潜水艦やキャラクターモデルが含まれている。もちろんAFVも多少持ってるのだが、ほとんどが大砲関連ばっかなのは最初に見た88のインパクトによるものだろうと思う。最近アミュージングホビーのFlak41買いました。

 特集について。タミヤのMMシリーズには、ちょっと前に出た「M3 スチュアート」のように、複数回製品化されている車輌がある。「M551 シェリダン」もそうしたリメイクされたキットの一つで、今回の特集では新旧キットを作り比べての温故知新がメインのテーマとなっている。どのキットがチョイスされたかは下のリストの通り。AFVに限らずこうした作り比べの記事は門外漢でも楽しく読めるのだが、昨今この手の記事はごく少なくなってしまっている。実に残念だ。特集では作例の他に対談記事にページが割かれていて、メーカー・モデラーそれぞれの視点でMMシリーズが語られている。

 NEW KIT REVIEWでは前号と比べるとかなり地味ながら、陸海空バランスよく取り上げられている。大型キット多め。エアモデルではエアフィックスの新作『ヴィッカース ウェリントンMk.1C』が掲載されている。ウェリントンは第二次世界大戦を通じて運用された名機で有名機なのだが、やっぱ少々地味。地味だけどキットはすごい出来で、内部構造を再現したモールドの見事さもさることながら、羽布のデリケートな表現が素晴らしい。エアフィックスは羽布の表現が上手い。記事ではばっちり内部も見れるのがありがたい。
 連載記事『FOLLOW YOUR HEART』では「マットジャイロ」に続いて墜落ネタのアオシマ1/350『ファイヤー フラッシュ』が取り上げられている。『サンダーバード』の第1話に登場した巨大旅客機だ。キットには劇中に登場するエレベーターカーも付属。出てから結構経つキットだが、かっこいいボックスアートにつられて買うと苦労するかもしれない。作例のように美しく仕上げるにはマスキングや窓の処理など結構大変なのだ。



 - 作例リスト (掲載順) - 航空機 戦車 艦船 車/バイク ■その他

連載記事『地名を名に持つ船とその場所のエピソード 艦船諸国漫遊記 Vol.38』
『イタリア海軍 戦艦 ローマ』ピットロード 1/700

特集「タミヤ1/35 MMシリーズを楽しむ」
『アメリカ軍空挺戦車 M551 シェリダン』タミヤ 1/35 ※作例は2例
『アメリカ陸軍 M551 シェリダン空挺戦車』タミヤ 1/35 ※旧キット
『ドイツ駆逐戦車 ロンメル』タミヤ 1/35
『ドイツ駆逐戦車 ヤークトパンター(後期型)』タミヤ 1/35
『アメリカ軽戦車 M3 スチュアート 後期型』タミヤ 1/35 ※ジオラマ作品
『アメリカ軽戦車 M3 スチュアート』タミヤ 1/35 ※ジオラマ作品
『イギリス S.A.S ジープ』タミヤ 1/35 ※ジオラマ作品
『ドイツ・Ⅱ号戦車 F/G型』タミヤ 1/35
『ドイツ重戦車 タイガー1 後期生産型』タミヤ 1/35

連載記事『モデリングJASDF 274回 Aggressor Archive vol.21 プラッツ1/72 航空自衛隊 T-2 飛行教導隊・パート1(初期塗装編)を作る』
『航空自衛隊 T-2 飛行教導隊・パート1(初期塗装編)』プラッツ 1/72

情報「World Modelers News No.19 ギフトさんにインタビュー」

NEW KIT REVIEW
『M-346 マスター高等練習機』キネティック 1/48
『海上自衛隊YT58号 260t型曳船』モデリウム 1/700
『アメリカ海軍航空母艦 CV-63 キティーホーク』トランペッター 1/700
『ヴィッカース ウェリントンMk.1C』エアフィックス 1/72
『T-34/85 ソビエト中戦車』ズベズダ 1/35
『M3A1 スカウトカー』タミヤ 1/35 ※同社「SU-85」を使用したジオラマ作品・他、作例は2例

連載記事『北澤志朗のヤングタイマー・ガレージ 連載第2回』
『シェルビー シリーズ1』ドイツレベル 1/25改造

連載記事『日本機大図鑑 連載第165回』
「十二試艦戦1号機の胴体結合」

連載記事『FOLLOW YOUR HEART 第55回』
■『ファイヤー フラッシュ』アオシマ 1/350

「It’s a FIGURE WORLD 目眩くフィギュアの世界」 ※モノクロ記事
「ズールー族の戦士 イサンドルワナ 1879年」アンドレア 90mm
「イギリス軍将校 1870-85年」ペガソモデル 75mm



 次号の特集は「ハウツービルド スピットファイア (仮題)」が予定されている。タミヤの新キットをメインにした特集っぽいが、好きな機体なので今から楽しみだ。
 最近、全然本屋に行けてなかったので、久々に見た新刊コーナーはがらっとラインナップが変わっていた。おかけで予定外の出費をしてしまった。いつもならバラバラで買ってたはずの本をまとめて買っただけなんだけど、この時期にまとまった出費は痛い。




ヴィッカース ウェリントンMk.1C』エアフィックス 1/72

『ほんとにあった怖い話〈25〉読者の恐怖体験談集』

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ほんとにあった怖い話〈25〉読者の恐怖体験談集』朝日ソノラマ 1994 ハロウィン少女コミック館

 怖さはそんなでもないけれど、粒の揃った体験談が集めらた一冊。内容は定番の学校の七不思議系の怪談をはじめ、土地や器物にまつわる話、明晰夢、ドッペルゲンガーなどなど、学校を舞台にした話が多い割に、かなりバラエティに富んでいる。これまでの巻では多かれ少なかれ社会人や主婦の体験談も取り上げられてきたが、この第25巻では体験者の年齢がほぼ中学生から大学生くらいまでに限られていて、よくまとまっている印象。

 同一の作画担当者(『鵺の絵師』の猪川朱美)によって描かれた第一話〜第三話は、整った作画、ごく少ないページの中にややこしい怪異譚をまとめあげる巧みな構成など、この人の作品集読みたいと感じさせるほどハイレベルだった。なにより怪異を無闇に押し付けてこない作風がネタによくマッチしていて好ましかった。確かこれら3編、深夜の校内での肝試しを扱った「第一話 月下の美少女」、霊感少女と曰く付きの指環の話「第二話 遺された指環」、このシリーズでは珍しいドッペルゲンガーネタの「第三話 もうひとりの私」はドラマにもなっていたはず。うろ覚えだが原作の雰囲気がよく再現されていた。

『第五話 怪音の響く夜』『第七話 腕をちょうだい』『第八話 合宿奇談』は、どこかで聞いたことのあるような怪談ネタを複数混ぜ合わせたようなエピソードで、子供たちの間で「ほんとにあった怖い話」として語られるのにぴったりな内容。バラバラ死体や生首がドーンと出てくるなど予想外に残酷な描写や、突然大声で驚かすような怖いシーンもあり、不気味な幽霊も出てくる。子供の頃の自分ならきっと怖くて眠れなくなったと思う。



『月下の美少女 他』画・猪川朱美 ’93『ほんとにあった怖い話』5月号、7月号、9月号 掲載
 「第一話 月下の美少女」投稿者・大阪府 武石眞さん ※学校の怪談・肝試し
 「第二話 遺された指環」投稿者・茨城県 匿名希望さん ※霊感少女
 「第三話 もうひとりの私」投稿者・埼玉県 石原千鶴子さん ※ドッペルゲンガー

『第四話 放課後の住人』投稿者・静岡県 匿名希望さん 画・山口夏実 ’93『ほんとにあった怖い話』5月号 掲載 ※学校の怪談

『第五話 怪音の響く夜』投稿者・鹿児島県 匿名希望さん 画・丸傳次郎 ’93『ほんとにあった怖い話』3月号 掲載 ※学生寮の怪談・金縛り

『第六話 私を殺した女』投稿者・神奈川県 五十嵐薫さん(仮名) 画・美里和歩 ’93『ほんとにあった怖い話』5月号 掲載 ※夢

『第七話 腕をちょうだい』投稿者・大分県 滝本陽子さん(仮名) 画・黒田祐乎 ’93『ほんとにあった怖い話』5月号 掲載 ※霊感少女

『第八話 合宿奇談』投稿者・新潟県 上田翠さん(仮名) 画・佐和田知生 ’93『ほんとにあった怖い話』5月号 掲載 ※心霊スポット・肝試し



『ほんとにあった怖い話〈25〉読者の恐怖体験談集』
 朝日ソノラマ 1994 ハロウィン少女コミック館
 著者:猪川朱美 他

 ISBN-13:978-4-2579-8531-0
 ISBN-10:4-2579-8531-3

MODEL Art (モデルアート) 2019年 01月号 No.1004

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 MODEL Art (モデルアート) 2019年 01月号 No.1004

 今月号の特集は「ここまでできる!! 筆塗り塗装」。またしてもハウツー系、表紙には「毎度おなじみ!」なんて書いてある。しかし、やや地味な印象だった先月号に比べると、今月号はバラエティ的充実度が相当高く、雑食性で変なアイテムが好きな人にはおすすめのおすすめな一冊になっている。かっこいいポルシェも載ってる。

 で、その特集。今回も作例は少なめながら、中身はかなり面白かった。一番筆塗りに向いてそうなAFV1/35「T-34/85」を筆頭に、1/48「F-4U-1D コルセア」、それからカーモデルをメタリックブルーで筆塗りする、なんて聞いただけで無茶そうなサンプルもある(一応成功とのこと)。個人的にはフィギュア関連の記事がタイムリーだった。最近ちょっと悩んでる、ってほどではないけど、どうするかなーと考え込んでしまってることがある。それは美少女フィギュアとミリタリー系フィギュアの中間くらいの造形のファンタジー系フィギュアの塗装について。例としては少々小さすぎるけど、前に書いた『Kingdom Death』(←前の記事へのリンクです)のキットとか、あんな感じのフィギュアの塗装の塩梅が掴めない。美少女フィギュアっぽく塗るとぺらっとしてしまうし、ゴテゴテ塗るのも違う気がする。実際に手を動かしてはみたものの、着地点が決まってないからどうもうまくいかない。そんなわけで今回のフィギュア関連の記事は興味深く読むことができた。作例はどれも美しい仕上がりなので、興味のある人は必見。

 NEW KIT REVIEWには面白い作例が並んでいる。変な飛行機、変な戦車、そして「昭和レトロな世界」である。前述の通りポルシェ業界でも屈指のかっこよさを誇る1/24『ポルシェ 935 K2 ’77 DRM仕様』も載っている。作例はグリーンの発色、光沢の素晴らしさが紙面からもひしひしと伝わってくる出来映えで、細かなチェツクポイントも漏らさず解説されている。いやーまじでかっこいい。
 連載記事『FOLLOW YOUR HEART』では前回に続いて特撮ネタ、ウェーブの1/72『マットジャイロ』が取り上げられている。作例は粒子の細かいシルバー塗装が印象的で、ちょっと前までCSの『帰ってきたウルトラマン』を楽しく見てただけに、なんとなく親しい気がする。それにしてもこんなにかっこいい機体だっけ。劇中では心もとない感じでふわーっと飛んで、真っ先に不時着してた印象が強い。
 今月号では新たな連載もスタートしている。カーモデルの新連載『北澤志朗のヤングタイマー・ガレージ』は「ちょっと旧いクルマを今のテクニックでカスタマイズ」するという趣向で、ハセガワの1/24「ジャグワー XJ-S TWR」か取り上げられている。渋い。カーモデルをカスタムするという連載は以前にもあったけど、今後の展開が楽しみだ。それから連載かどうかははっきりしないけど、「It’s a FIGURE WORLD 目眩くフィギュアの世界」というモノクロ記事が載ってた。今回はさわりらしいけど、ぜひカラーページを奪取してかっこいいフィギュアを紹介してほしい。そしていずれはヒストリカルフィギュアの別冊を。



 - 作例リスト (掲載順) - 航空機 戦車 艦船 車/バイク ■その他

連載記事『地名を名に持つ船とその場所のエピソード 艦船諸国漫遊記 Vol.37』
『日本海軍 重巡洋艦 鳥海』フジミ 1/700

特集「ここまでできる!! 筆塗り塗装」
『WWⅡ ソビエト軍 T-34/85』ドラゴン 1/35
『ヴォート F-4U-1D コルセア』タミヤ 1/48
『Major of British Cavalry in ww1』Nuts Planet 1/10 ※バストモデル
「“無人地帯の果てで” 若きソ連兵」LifeMiniatures 1/10 ※バストモデル
「ザポリージャのコサック 1676年」YoungMiniatures 1/10 ※バストモデル
「クレオパトラ」Nuts Planet 1/10 ※バストモデル

連載記事『モデリングJASDF 273回』
「Aggressor Archive vol.20」

情報「World Modelers News No.18 シモーネ・フィリッポーネ氏にインタビュー」

連載記事『北澤志朗のヤングタイマー・ガレージ 連載第1回』
『ジャグワー XJ-S TWR スポーツ』ハセガワ 1/24

NEW KIT REVIEW
『ポルシェ 935 K2 ’77 DRM仕様』アオシマ/BEEMAX 1/24
『フェアリー アルバコア 複葉艦上雷撃機』トランペッター 1/48
『アメリカ軍 M48 AVLB 架橋戦車』ドラゴン 1/35
■『昭和レトロな世界 -山本高樹-』プラッツ ノンスケール ※作例は「人世横丁」「縁日の屋台 たこ焼き屋」「ゴールデン横丁」「ベビーカステラ屋」の4例

特別記事「護衛艦「あさひ」と「あきづき」」
『海上自衛隊護衛艦 DD-115 あきづき』ピットロード 1/700
『海上自衛隊護衛艦 DD-116 あさひ』ピットロード 1/700 ※海面ベース付き作品

『AC-130H スペクター』イタレリ 1/72

連載記事『日本機大図鑑 連載第164回』
「零戦の胴体後半部釣上装置」

連載記事『FOLLOW YOUR HEART 第54回』
■『マットジャイロ』ウェーブ 1/72

「It’s a FIGURE WORLD 目眩くフィギュアの世界」 ※モノクロ記事

第29回 ピットロードコンテスト 審査結果発表!



 次号の特集は「タミヤ1/35 MMシリーズを楽しむ (仮題)」が予定されている。




ポルシェ 935 K2 ’77 DRM仕様』アオシマ/BEEMAX 1/24

飛行機模型スペシャル No.23

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『MODEL Art (モデルアート) 増刊 飛行機模型スペシャル No.23 2018年 11月号』モデルアート社 2018

 第23号は「ホーネット・シリーズ」のパート2、スーパーホーネット&グラウラーの特集。パート1が載ったのが2015年の8月号(←前の記事へのリンクです)だったから、実に三年以上ぶりの続編である。すごいロングスパン。前回の記事を見直してみたところ、2015年8月号の売れ行きは好調だった様子で「機種そのものに人気があるのか」なんて書いてあった。おそらく今号も調子よく売れているに違いない。

 特集の作例は1/48・3例、1/72・6例とやや少ないが、合わせてカラー30ページ以上もある解説「その開発・誕生と各型変遷」、ディティールフォト集、塗装とマーキング、それから各作例ごとの豊富な途中写真で、物足りなさは感じられない。特に実機の各部(シート、足回り、脚庫などなど)を鮮明に捉えたディティールフォト集は、キット製作の際には大いに参考になると思われるし、見てるだけでも楽しい。そして当然のようにキットも欲しくなってくる。また作例の途中写真は工作のみならず、特徴的な塗装・ウェザリングの過程も掲載されていて、こっちも製作の際に有用かと思う。自分はどちらかというとスマートなレガシーホーネットの方が好きなんだけど、四角いインテークの外側にパイロンやポッドを吊り下げた「グラウラー」は物々しくて実にかっこいい。

 連載記事の『モデリングJASDF 見たい! 撮りたい!! 作りたい!!!』ではミニクラフトの1/48『T-34A メンター初等練習機』が取り上げられている。1/48では初のインジェクションキットで、現在確実に入手できるキットとしては各スケールを通じて唯一のものらしい。最新のキットだけに出来は精密なようで、美しく表現された動翼の凹の列が作例でも確認できる。また記事にはいつものようにコクピットや各部のディテールがばっちり写った実機写真が掲載されている(カラー9ページ)。やっぱ練習機は華やかでいいな。



 - 作例リスト (掲載順) -

ニューキットセレクション
『九八式陸上偵察機 一二型』ファインモールド 1/48

特集記事『進化した鋼鉄のスズメバチ F/A-18 ホーネット シリーズ〈2〉スーパーホーネット&グラウラー』
『F/A-18E スーパーホーネット』ハセガワ 1/48
『F/A-18F スーパーホーネット』レベル 1/48
『EA-18G グラウラー』ハセガワ 1/48
『EA-18G グラウラー』ハセガワ 1/72
『F/A-18F スーパーホーネット』ハセガワ 1/72
『F/A-18E スーパーホーネット』ドイツレベル 1/72
『F/A-18F スーパーホーネット』ドイツレベル 1/72
『F/A-18E スーパーホーネット』アカデミー 1/72
『F/A-18F スーパーホーネット』アカデミー 1/72

連載記事「TOMCAT SQUADRON’S VOL.11 VF-32 FIGHTING SWORDSMEN」

短期特別連載「YS-11Aの塗装とマーキング」

連載記事『綿湯同院 #023』
「サンボーホールの奇跡と展示会2018」

連載記事『モデリングJASDF 見たい! 撮りたい!! 作りたい!!! Vol.020 最新のヨンパチでメンターが作りたい!』
『T-34A メンター初等練習機』ミニクラフト 1/48


横溝正史『黒猫亭事件』

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 横溝正史『黒猫亭事件』(『本陣殺人事件』角川書店 1973 角川文庫 金田一耕助ファイル2 所収)

 昭和22年3月、東京の郊外。巡回中の巡査が寺の一角を掘り返す若い僧「日兆」の姿を目撃する。巡査が確認すると、穴の中には女の腐乱死体があった。死体の顔面はもとの顔が判別できないほど損壊されていて、検視の結果他殺と判明した。同じ場所に黒猫の死体も埋められていたため、黒猫を飼っていたという寺に隣接する酒場「黒猫」との関連が疑われた。「黒猫」は最近廃業しており、住人「糸川」とその妻の「お繁」とのあいだにはいざこざが絶えなかったらしい。それというのも二人にはそれぞれ愛人がいたのだ。糸川にはダンサーの「鮎子」が、お繁には「風間」という土建業の男が。捜査は当初死体はお繁ではないかとの線で始まったが、死亡推定日時から該当しないことが判明した。続いて鮎子ではないかとも考えられたが、彼女に関する情報はごく少なく、行方もわからない。糸川夫婦の消息も全く掴めず、結局警察は「黒猫」の従業員と日兆の証言を頼りに捜査を進めることになった。

 顔のない死体をテーマにした中編小説。金田一を主人公とした作品としては『本陣殺人事件』(←前の記事へのリンクです)『獄門島』に次ぐ作品で、劇中にも先行する2作についての言及がある。自分はドラマ版を先に見ていたのでトリックについては特に思うところはなかったが、犯行は金田一が「「本陣殺人事件」や「獄門島」の三重殺人事件のような、小道具の妖美さはないかも知れない。(中略) しかし、犯人の計画のドス黒さ、追い詰められた手負い猪のような、自暴自棄の凶暴さ、そういう意味では、とてもまえの二つの事件の比ではない」(p.283)という通りの相当陰惨なもの。トリック自体の面白さというより、トリックを通じて犯行の陰惨さや犯人の反社会性を描き出すことに主眼が置かれている。
 で、その金田一だけど、毎度のことながらこれがなかなか出てこない。全編の半分以上が過ぎたあたりでようやく登場する。もっとも本作の捜査陣はわりと実直に捜査を進めるので、嘘っぽく無能な登場人物にイラっとすることなく読むことができた。金田一を担ぎ出した「風間」が、中学の同窓生ってことで金田一を「耕ちゃん」と呼ぶのが、全体に暗いトーンの中でやけに楽しかった。また金田一がしばらく出てこないからってわけではないだろうけど、冒頭には金田一から著者への手紙と、小説『本陣殺人事件』をきっかけに著者と金田一が知り合った経緯、推理小説のトリックに関する二人のやり取りが書かれていて、本編に勝るとも劣らない面白さだった。

 前述の通り本作もばっちりドラマ化されている。CSでたまにやってるので何度も目にする機会があった。「お繁」役は映画の「獄門島」(1977)で「分鬼頭巴」を演じた太地喜和子。



『本陣殺人事件』
 角川書店 1973 角川文庫 金田一耕助ファイル2
 著者:横溝正史

 収録作品
 「本陣殺人事件
 「車井戸はなぜ軋る」
 「黒猫亭事件

 ISBN-13:978-4-0413-0408-2
 ISBN-10:4-0413-0408-3